【WIND BREAKER:®️指定】My friend
第3章 私だけの貴方
(えっ……ちょっと待って……。)
段々と近付いている順番に、いつきの疑問が確信に変わった。
(あのサンタさん、梅宮先輩だぁ!!!)
まさかクリスマスの日に梅宮に会えて、彼のクリスマスコスが見れると思わなかったので、いつきは興奮で思わず顔を赤くする。
その梅宮の姿がまた可愛くて、白い髭なんて気にならないくらいに、ずっと見ていたかった。
むしろ写真を撮りたい。
いつきに気が付いて、梅宮はいつきに向かってニコッと笑った。
その笑顔だけで、足元から崩れ落ちそうになる。
「おじちゃん!来たからちょっと変わってくれない?!」
梅宮がいつきを確認すると、店の中に声をかける。
もう1人サンタさんが出てきて、ケーキを渡している梅宮と変わった。
初めからいつきが来たら抜けると言っていたのだろうか。
スムーズに列を抜ける梅宮を見て、そんな事を期待してしまった。
「いつきはこっち。」
サンタ梅宮に手招きされ、期待が確信に変わった。
………もう好きっていう気持ちがいっぱいになる。
梅宮の後をついて行って店の裏側いくと、梅宮は一旦裏口から店の中に入って行く。
「はい、いつきにはこっち。」
改めて出てきた梅宮の手には、クリスマスケーキらしき箱が袋に入っていた。
戸惑って梅宮からケーキを受け取るいつきに、梅宮は続けて言った。
「お店手伝うと、ケーキ一個貰えるんだよ。」
「え?何で私に?」
この引換券はどうすればいいのだろうか。
梅宮はいつきが持っていた引換券を抜き取る。
「これは『あいつら』に渡すケーキにするよ。」