【WIND BREAKER:®️指定】My friend
第3章 私だけの貴方
自分の中に2人の男の人が居る。
それはもちろん梅宮で、十亀でもあった。
そんな自分の感情を、いつきは『気持ち悪い』と思っていた。
自分が好きなのは梅宮1人だ。
そう思う感情と、十亀に気持ちが傾く自分と。
自分の気持ちに折り合いがつかない。
梅宮を見たかったら簡単だった。
彼が何処に居ても、その目はいつも梅宮を追っていた。
『今ならあそこに居るかもしれない。』
そんな予感はいつも当たって、いつきは見たい時に梅宮の笑顔を見れた。
いつきは廊下の窓越しから、いつも人に囲まれている梅宮を見る。
その表情はいつも笑顔で、笑い声が絶えない中心にいつも梅宮の姿があった。
だけどそれはいつも、このガラス窓を隔てた距離だった。
自分はあの中の梅宮とは一緒に居れない。
いつもこの距離。
ふと梅宮に手を伸ばすと、必ずガラスがその手を阻んだ。
そんな梅宮の姿を見て、いつも胸が締め付けられて涙が出そうになる。
いつきはもう知っている。
愛しい相手が目の前に居たら、自分がどんな表情をしているか。
十亀が自分を見る様に。
いつきの目はその気持ちを隠さずに、梅宮に向かっている。
彼は本当に自分の気持ちに気付いていないのだろか。
実際、いつきも十亀がその気持ちを言うまで、彼の気持ちに気付かなかった。
それに気が付いた今。
何でその気持ちに気が付いたのか。
そんな表情を向けられたら、どんな気持ちになるのか。
いつきは全てを知っている。