• テキストサイズ

【WIND BREAKER:®️指定】My friend

第3章 私だけの貴方


「っ条…もう止めて……。」


理由はたった1つ。
いつきがそれを拒むからだった。


もう一度いつきにキスをして、大きく熱い息を吐いて、十亀はいつきから唇を離した。

見下ろしたいつきの顔は、涙を溜めて全身で十亀を拒否しているのが分かる、



自分はこんな顔をしたいつきに無理矢理キスをしていたのか。



十亀の心の中に嫌な痛みが走った。


いつきは言葉にしなかったら、十亀を傷付けていないと思っているかもしれない。

でも実際に言葉にはしなくても、その表情や涙を溜めた目が十亀を拒否していると分かったら、簡単にこの胸は傷付くのだ。




だから十亀は今日もそれ以上いつきに触れない。

彼もまた葛藤していたのだ。


この渇いた気持ちはいつき以外に埋められないともう知っている。


兎耳山と一緒にいても満たされないこの気持ちの部分は、間違いなくいつきへの『恋慕』の気持ちだった。


「…… いつき…。」
十亀は力強くいつきを抱きしめながら、耳元でいつきの名前を呼ぶ。



早く自分を受け入れて、自分以外に誰も見ないで欲しい。



じゃければ、この気持ちがいつか爆発して、いつきを簡単に傷付けてしまいそうだ。

























夏が過ぎて、十亀の気持ちが恋心だと分かった頃。

もう季節は冬に差し掛かっていた。




花壇に花は咲いていなく、この時期は園芸部の活動は殆どしていない。




何も咲いていない花壇をいつきはボンヤリと見ていた。


「いつき。」


ずっと聞きたかった声が、いつきの背後から聞こえた。



/ 90ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp