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【WIND BREAKER:®️指定】My friend

第2章 幼馴染は殻を脱ぐ







「最近、条くん見ないね…。」


月に数回の母親のお見舞いに、いつきは度々十亀と一緒に来る事がある。
だけど最近はずっと1人で母親に会っている。


「……最近友達出来て楽しいみたい。」
「まぁ……男の子だもんね…、沢山外に出ないと。」



いつきは十亀が来なくて寂しがっている様だが、いつきの母親からしたら、十亀は同性と遊ぶべきだと思っている。


「寂しいけど仕方ないね。」

そう言っていつきを慰めようと伸ばした腕は、ゾクっとするほど細かった。


無数の点滴の後と、掴んだら折れてしまいそうな腕を、いつきは優しく触れた。



入院してからずっとこの姿で、悪くもなっていないが、決して良くもなっていない。
先の見えない母親の入院に、いつきは胸が締め付けられそうだ。



今日はお店も暇だろうから、面会時間ギリギリまで母親の側に居た。
20時までずっと母親と話していたが、体力の無い母親は最後の方は、目が閉じかかっていた。

そんな母親を見て、いつきはゆっくり病室を出て行く。


いつもの様に面談カードを警備員の人に渡して、夜間口からいつきは暗くなった外へ出た。



病院の前のバス停に十亀が居るのを確認すると、いつきは足を止めた。

いつきが来たのが分かると、十亀はゆっくりと顔を上げる。


その顔に目新しい喧嘩の傷を見て、いつきの顔が歪んだ。

十亀はバツが悪そうに、いつきの前に来ると、いつきの手を握った。


「…………喧嘩して、お見舞い来てくれなかったんだ。」


十亀の顔は見ないで、握られている手を見ていつきは言った。


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