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【WIND BREAKER:®️指定】My friend

第2章 幼馴染は殻を脱ぐ


同じ気持ちでは無いと分かっているのに、一度芽生えは欲はもう消える事は無かった。


それでもいつきの様子を見て、いつきが驚かない様に、彼女ペースに合わせた。

毎日ずっとしていたいキスは、たまにで我慢して。
抱き締めたい体には触れない様にした。



毎日一緒に居る中で、気が遠くなりそうな事だった。
だけど十亀はいつきを思い、自分の欲望だけを押し付けない様に気を付けていた。




『条、夏休みいつきとここ行くか?』

いつきの父親から渡されたのは、遊園地とプール施設が一緒になっているテーマパークの割引券だった。


受け取って、十亀は嫌な顔をした。
全然行きたいと思わない。



……でもいつきは確かに行きたがるかもしれない。
いつきの親も自分が何処にも連れて行けないから、十亀に頼んだと言う所だろう。



『………そうだ……あの海なら…。』



幼い頃、いつきの家族と十亀の家族で一緒に行った海を思い出した。
少し遠いけど、人の少ない海水浴場で、いつきもとても楽しんでいた。




『おじさん……お小遣いが足りない……。』
『……バイトは無理だけど、手伝い賃なら出すぞ…。』


そもそも今の十亀のお手伝いが既に、無償では気が引ける位に手伝ってくれていた。






『私は真夏に海に行きたく無いなぁ。』
『…………………。』

いつきは機嫌悪そうにそう言った。
いつも温厚な十亀も流石にムッとしてつい意地悪な返しをしてしまう。




『なんだ?結局何処も行かないのか?』
『…………うん…。』


何処かに行く話が2人から全く出ない事に、父親は呆れた様に言った。


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