【WIND BREAKER:®️指定】My friend
第1章 ®️彼は何故堕ちたのか
そんな大した事ない話でも、隣で一緒に居られるだけで幸せだった。
「いつきは商店街の夏祭り来る?」
ホースを片付けながら、梅宮はいつきに聞いた。
「……その日は、うちも掻き入れどきだから、お店の手伝いかな…。」
そしてすぐに神社のお祭りも始まるのだから。
商店街のお祭りの後に、飲屋街に流れて来る人は多かった。
いつきの家はお客さんも多いのだ。
「……そっかぁ…、俺商店街手伝ってるから、いつきにも来て欲しかったな。」
少し残念そうに梅宮に言われて、自分も凄く行きたいと言ってしまいそうになる。
きっとその日、梅宮は沢山の人に囲まれているのだろう。
今日もきっと、梅宮が集めた仲間と一緒に、この後商店街の見回りもするはずだ。
いつも梅宮の周りには人がいっぱいで、いつきはこうして2人きりの時では無いと、梅宮と会話すら出来ない。
少し…ほんの少しでいいから、その時間を自分にも分けてもらいたかった。
こんな数分の時間だけじゃなくて、もっと彼の側に居たい。
いつの間にはそんな事を思ってしまうほど、梅宮に対する気持ちが大きくなっていた様だ。
「今日、商店街の方がお祭りかぁ。」
「うん、お店も忙しそうだね。」
やはり商店街のお祭りで、酒屋に来るお客さんも多かった。
十亀といつきは父親が配達に行ったら、店番が出来る様にレジ裏の居間で過ごしていた。
十亀はチラッとお店の様子を見た。
いつきの父親は忙しそうに、お客さんの対応をして、こちらを気にしている様子は無かった。