【WIND BREAKER:®️指定】My friend
第1章 ®️彼は何故堕ちたのか
もし次十亀がキスをしてきたら、きっとその時は止めるだろう。
そしてその後はまた、小学生の頃の様に戻るだけだ。
自分達は何も変わらない。
この時は本当にそう思っていたんだ。
中学2年生の夏休みで、私達の関係はまた変わりだした。
その年も例年に負けない位暑い日が続いていて、毎日の花壇の世話だけでも体力を使った。
その分園芸部は冬にあまり活動が無いので、今が1番忙しい時期だ。
放っておいたら、あっという間に雑草だらけになってしまう花壇の草むしりを、帽子を被りながらいつきは黙々としている。
ふと花壇の隣にある梅宮が植えたミニトマトを見た。
梅宮の世話が良いのか、苗は2つしかないのに、それでも充分に沢山実をつけている。
「暑いねー。」
着ているシャツを扇ぎながら、梅宮はいつきの元に歩いてくる。
梅宮の顔を見ると自然に笑みが溢れた。
そう、この夏休みは学校に来れば、ミニトマトの世話をしにくる梅宮に会えるからだ。
「先輩、毎日来なくても私が水やりしておきますよ。」
本当に毎日梅宮が来ているから分からないけど、いつきが当番で来る日には、こうして梅宮に会う事が出来る。
「無理言って花壇借りたんだら、世話位自分で出来るよ。」
そう言って梅宮は慣れた様にホースを引っ張ってきて、ミニトマトに水をかける。
そして沢山実っているミニトマトを、嬉しそうに収穫していく。
この時間が凄く楽しかった。
「沢山実って良かったですね。」
「いつきが世話している花も綺麗に咲いてるね。」