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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第17章 約束



ポトスに辿り着き2階に上がる私。
‥はじめは取りに行く物があると言って何処かへ行った。

お店に辿り着くまでの事は、何も覚えていない。整理したはずの心がぐちゃぐちゃで。私は、床にへたり込んで壁に身体を預けながら壁に掛かる時計が目に入らないように目を逸らした。

‥もうすぐ、1日が終わる。はっきりと分かるのはそれだけ。

「花火、綺麗だったな‥」

窓から見える月を見ながら呟く。

このまま‥綺麗なままで。
笑顔で終わりにしたい。

‥いつか、この日が来たら伝えようと思っていた約束も。

「‥伝えなくちゃね。」

目を閉じて、ゆっくり深呼吸した。

気持ちを落ち着かせていると、階段を上がってくるはじめの足音が聞こえて来た。

「‥ ひまり?電気も点けないで何してるんだ?」

暗闇で床に座り込む私を心配して、両手に荷物を抱えたはじめが駆け寄って来る。

「立てるか?」
「うん‥。」

頷く私を支えてソファーに誘導するはじめ。私を座らせると部屋の明かりを点けた。眩しさに顔をしかめる私。

「‥疲れたよな、大丈夫か?」

隣に座って、私の顔を覗き込むはじめの肩にもたれかかって頷く私。

「大丈夫、疲れてないよ‥」

私は、はじめに顔を向けて微笑んだ。そっか、と笑って頭を撫でてくれるはじめ。

「それ‥」

はじめの足元に置かれた紙袋に目をやる。

私の言葉に、あ!と紙袋を手渡して来るはじめ。

「これ、柊と1年生達からのプレゼント。ひまりにって、預かったんだ。」

渡された紙袋の中身を見て顔が綻ぶ。花束と可愛くラッピングされた袋がいくつか入っていて。

「‥1年生からも?嬉しい‥。」

本当にいくら感謝してもしきれない。

「本当、良い人達ばっかりだね‥風鈴も、この街も。」

屋上に行った時には言えなかった事。

「全部、はじめのおかげ。本当に‥ありがとう。」

はじめに向き合い、笑顔でそう伝える。


‥ずっと、一緒に居てくれてありがとう。

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