私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第17章 約束
「‥はじめ?」
「‥見なくていい。」
驚く私に静かにそう言って、立ち止まったはじめに真剣な顔で真っ直ぐに見つめられ戸惑う私。
私の表情にはじめは何かを迷うように顔を伏せた。
スマホごと掴まれた手に伝わってくる強い力。様子のおかしいはじめに、掛ける言葉を探していたその時。
「‥‥にいるから。」
聞こえて来た小さな声。
「‥え?」
よく聞こえず、一歩近付く私。
瞬間。
強く抱き寄せられる身体。
「‥朝まで、一緒にいるから。」
突然、抱きしめられて硬直する私の耳元で言葉を続けるはじめ。
「だから‥時間なんて、見なくていい。」
そう言って、私を抱きしめる力を強めてくるはじめの腕は微かに震えていて。
気付けば、私もはじめの背中に両腕を回していた。
‥堪えていた感情と涙が溢れ出す私。
酷いよ、はじめ。
ホント‥どこまでも優しいんだから。
私は頷きながら、はじめの胸に顔を埋めた。