私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第17章 約束
拗ねた口調でそう言って顔を赤くするはじめは、下ろしている髪型のせいもあるがまるで幼い子供のようで‥可愛いくて。
「‥はじめが1番だよ?」
私は、はじめを見上げながらそう言って笑った。
「ひまり〜‥慰められると余計に恥ずかしいし、情けないんだけど‥」
と、しょげるはじめに私は苦笑い。
「ん〜とね‥、可愛いって言われたらもちろん嬉しいんだけど‥」
顎に指を当てながら、言葉を選ぶ私。
黙って私の言葉を聞くはじめ。
「やっぱり‥大好きな人から言われるのが1番嬉しいから。」
‥だから。
「私にとっては、はじめが1番!」
そう言って、はじめの両頬を両手でパチンと叩く。
「ね!だから機嫌直して?」
その私の笑顔に、耳まで真っ赤になるはじめ。
「‥ ひまり、それは反則だろ‥」
溜め息をついて脱力するはじめに、お互いに可笑しくなってしまい顔を見合わせて笑い合った‥その時だった。
同時に鳴り始める、私とはじめのスマホ。
私は、椿から。
はじめは、柊からで。
私達は慌ててスマホに表示された時刻を確認した。
‥楽し過ぎて忘れていた。約束の時間はとうに過ぎていて。
「「あ‥」」
と、2人同時に声が出た。
顔を見合わせて頷き、意を決して通話ボタンをタップした瞬間。聞こえて来る‥私を心配する椿の声と、はじめにキレる柊の怒号。
「‥もしもし??ひまり!?今どこ?!何してるの??大丈夫?!ケガとかしてない?!」
「‥梅宮ぁっ!!オマエは本っ当に‥!!何回遅刻すれば気が済むんだ!?」
スマホを耳から離して苦笑する私達は事情を説明して、何とか2人を落ち着かせた。
「‥うん、はじめと一緒だから大丈夫。今から合流するね。」
「‥悪かったって!ゴメン!!あ、花火そろそろ始まるからさ、何か適当に食べるもん買ってくな!」
そう言って通話を切り、同時に息を吐く。
「「プッ‥」」
‥お互いのその姿に笑いが込み上げてきてしまった私達は、堪らずに噴き出した。
「‥怒られちゃったね?」
「‥だな!お揃いだ!」
‥2人一緒だと、何でも凄く楽しくて。
私達は笑い合いながら屋台を周り、お互いに両手いっぱいの食べ物を抱えながら待ち合わせ場所へと向かった。