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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第17章 約束



何てことないありふれた恋人同士の会話をする‥いつも通りの私達。

暗くなり始めた空に、提灯や出店の灯りがよく映える。歩きながら、灯りに照らされたはじめの顔をこっそりと見る。提灯の灯りのせいかもしれないけれど。何となく‥赤い気がして。

ジッと見つめる私の視線に気付いたはじめがこちらを見た瞬間、合ったお互いの目。赤くなった顔を誤魔化すように、慌てて私から視線を逸らすはじめ。

「お!あれ、いいな〜!」

射的を指差して目を輝かせるはじめに手を引かれて出店に向かう。

「いらっしゃい!」

お店のお兄さんが、はいよ!とはじめにコルク銃を手渡す。

コルク玉は3発。

「ひまり、何か欲しいのあるか?」

そう聞かれた私は棚に並んだ景品を見る。
ズラリと並ぶ景品の中で、私の目に留まった物。

‥花束を抱えたクマのぬいぐるみ。

優しい目元が、何となくはじめに似ていて可愛い。

「‥アレがいい。」

私は真ん中に居たそのクマを指差した。

「アレだな?‥よし、任せとけ!」

そう言って、はじめは笑顔で銃を構えた。

狙いを定めて玉を放つ。

1発目。

少し傾く、クマの体。

2発目。

後ろに行くも倒れない。

‥重いからなのか、中々倒れない。

次が最後の1発。
不安そうな私に、ニッと笑って見せるはじめ。

「‥大丈夫、絶対当てる!」

そう言って、ふぅと息を吐いて銃を構えて狙いを定めるはじめ。

‥頑張って‥!!
手を握って固唾を飲む私。

パンッ!!と、最後の玉が放たれる音。

‥その瞬間、棚からクマが落ちた。

「よし!!」

ガッツポーズをしながら喜ぶはじめ。

「はじめ凄い‥!!」

私も手を叩いて喜ぶ。

そんな私達を見たお兄さんが、ニヤニヤしながら景品を渡してくる。

「はいよ!兄ちゃん上手いな〜!!可愛い彼女にプレゼントか〜?妬けるね〜!」
「ハイ!ありがとうございます!!」

私はお兄さんに手を振り、ぬいぐるみを受け取ってお店を離れた。

「可愛い〜!はじめ、ありがとう!」

手渡されたぬいぐるみを抱きしめて喜ぶ私に、何故かちょっと不機嫌そうなはじめ。

「どうしたの?」

顔を覗き込む私に口を尖らせて、はじめが言った言葉。

「‥俺が先に言いたかったのに。」
「え?」

「今日のひまりが可愛いって‥俺が先に言いたかった!」
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