私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第17章 約束
数週間前は七夕飾りで彩られていた商店街。
今日は紅白の提灯で彩られていて、また違った雰囲気を見せていた。頭上に並んだ提灯を見上げて微笑む。
‥やっぱり、いくつになってもお祭りは心が躍る。
今日は、皆で色んな出店と花火を楽しみたいな。射的も金魚すくいもやりたい。あれこれ楽しみに胸を膨らませながら、花壇の水やりを終える頃。
「ひまり〜!!」
「ひーちゃん!!」
遠くから手を振りながらこちらに歩いて来る、椿とことはの姿。2人とも両手に何やら大きな荷物を持っていて。
‥とても楽しそう。
「椿〜!ことは〜!おはよう!」
私が手を振り返すと、駆け寄って来る2人。
2人は私の目の前まで来ると顔を見合わせて‥満面の笑顔。
「「‥せーの!!」」
クラッカーの音が鳴り響き、
「「お誕生日おめでとう〜!!」」
そう言った2人に抱きつかれる。
「椿、ことは〜!ありがとう〜!!」
私も、2人を抱きしめ返す。
毎年変わらない光景。
「今年は外でクラッカーだったから、ビックリした!」
頭に付いたクラッカーの装飾を取りながら笑う私。
「ひまりの顔見たら、早くお祝いしたくなっちゃってね〜?」
「本当は、いつも通り中で鳴らすつもりだったんだけど‥」
ね〜!と、言って照れ笑いする2人。
また1つ、新しい思い出が増えた。
「中でゆっくりしよ!」
頷く2人の手を引っ張って、店内に入る。
夕方の待ち合わせまでは、まだたっぷり時間がある。はじめと同様に心配して、約束の時間より早く来てくれたのだろう。私はそんな2人の厚意にありがたく甘える事にした。
ソファに3人で並んで座り、2人からプレゼントを受け取る私。
「‥ ひまり〜?はい!プレゼント♪」
「ひーちゃん、私からも〜!」
椿とことはが、それぞれ渡して来たのはお洒落な小さい箱。
「「開けてみて!」」
うん、と頷き箱を開ける。
椿からのプレゼントは、可愛い四つ葉のクローバーのネックレス。
ことはからのプレゼントは、大人っぽいお洒落なイヤリングだった。
「どっちも凄く嬉しい‥!!ありがとう。」
私の笑顔に、満足気な2人。