• テキストサイズ

私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第17章 約束



思い返すと、色んな約束したな。
はじめは全部ちゃんと守ってくれた。

「‥ちゃんとはじめの方が大きくなったね。」

私は、そう言いながらしゃがんで途中で書かなくなった成長記録に手を触れた。これには理由がある。

昔の母と私の会話。
小学生の頃、男子に低身長をからかわれていた私はその度にいつも落ち込んでいた。

"ねぇ、私もお母さんくらい大きくなれる?"
"そうね‥、ひまりは小さいのが嫌?"

"‥チビってからかわれるから‥嫌。"
"お母さんも、昔そうだったな〜"

"お母さんも小さかったの?"
"ひまりと同じ位ね!今も小さいわよ?ひまりが、もう少し大きくなる頃には‥お母さんが抜かされちゃうかもね〜?"

母は、そう言って頭を撫でてくれた。

"でもね、ひまり?"
"なぁに?"

"これだけは忘れないで?‥小さくたっていいの。馬鹿にされたっていい。どんなひまりでも大好きになってくれる人がいつかきっと現れるから。"
"ほんと?"

私の言葉に母がこっそり耳元で教えてくれた事。

"お母さんが、何でお父さんと結婚したか分かる?"
"お父さんの事が大好きだからでしょ?"

"もちろん、それもそうなんだけどね‥?"

首を傾げる私。

"今のひまりみたいに小さい事を気にしてたお母さんに、お父さんが言ってくれたの"
"なんて?"

"どんなお母さんでも大好きだ〜!って。"
"わぁ〜!お父さんカッコいいね!"

"でしょう?だから、どんな自分でも恥ずかしいなんて思わないで、大好きでいてほしいの。"

お母さんとお父さんは、どんなひまりでも大好きだから。私達の他にも大好きになってくれる人が沢山いるよ。

いつも笑顔で、とっても仲良しで。
大好きだった両親。

"ひまりには‥もう居るんじゃないかな?"

あの時、母が言ってた言葉。

「‥はじめの事だったんだね。」

1番近くで私とはじめを見守ってくれてたから、きっと私達の恋心にも気付いてた。今でも身長は‥やっぱりコンプレックスだけど。こんな自分も大好きになれたのは‥あの日のはじめのおかげだと思うから。

「‥やっぱり凄いね、キミは。」

"‥オレ達はどんな風になっても、ずっと一緒だよ"
"うん!約束!"

ーこれが、あの日の約束。
















/ 102ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp