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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第4章 願いの芽と不安の種



ー今年の春。

この町で革命が起きてから3年目の4月。
当たり前だが他校と同じく風鈴高校にも新入生が入学してくる。

ポトスは風鈴高校に近い為、新学期恒例のはじめの新入生達を歓迎する校内放送が聞こえて来て‥。
(はじめは地声が大きいのでスピーカーを通すと警報級である)

あぁ、また始まりの季節だなと感じられる。

早速、商店街でも大活躍しているようで入学初日から新入生達のウワサが流れていた。

実際、はじめも嬉しそうで。
色んな話を聞かせてくれた。

"頼もしい弟達"が出来たと。

新入生達と因縁があったチームと決闘して和解して、友達になった事も。

決闘の後、傷だらけで帰って来て誇らしげに語るはじめを見て。
毎日、街を脅かす存在と戦ってボロボロになって帰って来る君達を見て。

‥私の心に芽生えた願い。

"俺、この町のやつら全員家族だと思ってるからさ"

はじめが今まで沢山の想いを抱えて守ってきたもの。色んな苦悩もずっと側で見てきたからこそ、力になれる事は何でもしてあげたいし隣で支えていきたい。

私だっていつまでも守ってもらうだけのお姫様じゃないんだよ?‥はじめ。

君には内緒だけど‥こっそり護身術も身につけたし簡単な体術も出来る。

‥‥バレたらまた胃薬大量摂取しちゃうかな、ゴメンね柊(ひいらぎ)。

幼い頃は憧れで。嬉しかった"お姫様"。
今は凄く‥嫌だな。

守られてばかりも、自由がないのも嫌で。
対等まではいかなくてもせめて平等でいたいと。

そう思ってしまったらもう‥この湧き上がる気持ちは止められなくなっていて。

私の心に芽生えた願いが。
‥花開いた。

***

「‥嘘つき。もう、いい。」
「嘘‥?ちょっと待てって!ひまり!!」

はじめの手を振り払って立ち上がる。

一緒にいると私が"弱み"になるから怖いんだよね?
君の"特別"になったから。
だから危険が及ばないように。
今までずっと守ってくれてたんだよね。

‥分かってるよ、全部。

''ひまりはお姫様みたいだな!塔の上とかにいるやつ!"

幼い頃言われたこの言葉には続きがある。

"でも強いんだ!だから一緒に戦ってくれる!2人なら最強だから!"

君は覚えてるか分からないけど‥確かにそう言ってくれたよね。

‥だから私は。
お姫様をやめて塔から出ると決めた。



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