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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第16章 夏休み2



通話ボタンをタップし、スマホを耳に当てる。

「もしもし?‥どうかした?」
「あ、もしもし?良かった出てくれて!」

電話越しで嬉しそうなはじめ。

「あのさ!今からちょっと海に散歩しに行かないか?‥2人で!」

嬉しいお誘い。断る理由なんてない。

「うん、行く!」

私の返事を聞くと、玄関で待ってるな!と、通話が切れた。私は、バルコニーから室内に戻って椿とことはに声を掛けた。

「ちょっと散歩してくるね。」

誰と‥とは言わない。‥言わなくても分かるから。
私の読み通り、すぐに誰と一緒か分かった2人は嬉しそうで。

「星空の下の海岸デート〜??ちょ〜ロマンティックじゃない!」
「梅、急に積極的になっちゃって〜、ラブラブだね〜??」

頬を染めて照れる私に楽しんで来てね〜?と、冷やかしを浴びせてくる。

「もう‥!行ってくるね!」

ニヤニヤする2人を遮断するように、部屋の扉を閉めて階段を降り、玄関へ向かった。

階段を降りて顔を上げると‥玄関には夜空を見上げるはじめ。

昼間オールバックにセットされていた髪を全て下ろしていて、少し幼い‥本来の姿。

夜風に揺れる白髪が綺麗で。
私は思わず足を止めて、見惚れてしまった。初めて出会った日みたいな気持ちになって鼓動が早くなる。

‥総代になってから、"総代としての威厳"が無い。と、言われたのを気にして髪型をオールバックにするようになったはじめ。もちろん普段の髪型も良く似合っているし、カッコいい。

けれど。
私が1番大好きなのは‥やっぱり本来の姿だから。見慣れている筈なのにいつもドキドキするこの気持ちが照れ臭い。

階段下に立ち尽くして見惚れていた私に気付いたはじめが手を振る。

「ひまり!」

子供みたいに無邪気な笑顔で、優しく私の名前を呼ぶはじめに。

‥愛しさが溢れて止まらなくなる。

嬉しそうに差し出して来たはじめの手を、駆け寄って取る私。

皆と一緒もいいけれど。
2人きりで過ごす時間が、やっぱり1番大好き。

‥大好きな君を、独り占め出来るから。
昼間のはじめの行動が効いているのかも知れないけれど。

私の中にもちゃんとある、独占欲。

自覚してはじめの手を強く握った。








































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