私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第16章 夏休み2
「‥はじめ?」
頭を抱えて動かないはじめの隣にしゃがみ込もうとしたその瞬間。
突然、立ち上がったはじめに腕を引っ張られ‥そのまま抱きしめられる私。
「は、はじめ‥、人が見てる‥」
周囲の人々の視線が痛い。
「‥こんなに可愛い、ひまりが悪い。」
照れまくる私とは対照的に、そう言って気にする様子もなく抱きしめる腕の力を強めるはじめ。
私は、暑さと恥ずかしさで今にも心臓が爆発しそうで。
「はじめ、そろそろ大会の時間が‥」
と、はじめの両腕に両手をかけて何とか押し返そうとする。
そんな私に少し不満そうな顔のはじめだったが、すぐに笑顔になり‥
「‥じゃあ、大会前の充電させて!」
と、もう一度強く抱き締めながら‥額にキスをしてきて。
その後、満足したはじめから解放された私は大胆な行動に心臓がバクバクだったのだが‥遠くからこの様子を見ていた柊達の配慮により大会の応援が私1人になってしまった。
"絶対、優勝するからな〜!!“
そう言って、やる気満々かつ充電満タンで大会に挑んだはじめ。もちろん文句無しでもの凄く‥カッコ良かった。
やがて、言葉通り優勝したはじめと優勝賞品を持って皆の所へ戻る。優勝賞品は、大玉のスイカだった。
皆、大喜びしてくれた。
それからは、散々冷やかしを浴びながらバーベキューの準備をして沢山食べて。
新入生達による壮絶なスイカ割りを見て、楽しんで。
あっという間に夕方になり、民宿に到着する頃にはすっかり夜になっていた。
二階建てで、お洒落な外観の民宿。
お風呂を済ませて夕飯を食べた後、貸し切りなので夕飯が終わると管理人さんも居なくなり。
各々、部屋で自由にくつろいで過ごしていた。
私と椿とことはが2階の同室で。
男性陣は全員1階の同室という部屋割り。
一階と二階で分かれているので、各フロアはとても静か。
私は、部屋の窓から夜の海を眺めて穏やかな時を過ごしていた。
民宿で貸してくれた浴衣を着ているから涼しく、潮風も心地よいのでバルコニーに出ていた。
夜空には沢山の星。
「綺麗‥」
私は、暫くその美しい夜空に目を奪われていた。
〜♪
ぼんやりと夜空を眺める私の手元で、突然振動したスマホに我に返って画面を確認する。
‥はじめからだった。