私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第16章 夏休み2
「「2人でゆっくりね〜!」」
そう言って、椿とことはも私を残して乗り場へ行ってしまい‥。
「‥何なの?もう‥」
訳が分からず溜息をつく私の元へ、はじめがやって来た。
「ひまり、ちょっと来て!」
と、私の腕を掴んで引っ張ってくるはじめに腕を引かれるがままに砂浜を暫く歩いた。
「‥はじめ、何処に行くの?」
歩き始めて数分後。
何も喋らないはじめを不信に思う私。
どう考えても‥目的もなく歩いてるよね‥?
私は立ち止まって、はじめの腕を引っ張り返した。
「ねぇ、どうしたの?何か変だよ?」
そう言って私が顔を覗き込むと、何故か少し赤くなっていて。
不思議そうな私に、溜息をついて観念した様に口を開くはじめ。
「‥今日のひまり、凄い可愛いから。‥楡井達にちょっとヤキモチ焼いた。」
頭を掻きながらそう言うはじめに、急にそう言われて一瞬固まる私。
‥今、可愛いって言った??ヤキモチ焼いたって‥
頭の中ではじめの言葉を思い返して、今度は私が赤くなった。
「そんなに露出してるなんて思わなかったし‥とにかく!めっちゃ可愛いから、俺以外と一緒に居られるのが何か嫌だ!!」
戸惑う私に、めちゃくちゃ子供みたいな事を言って拗ね始めるはじめ。
「‥はじめも皆も、何ともなさそうだったじゃない?」
水着なんて誰が着ても一緒なんだと思って、勝手に安堵していたけれど‥はじめはそうではなかった様で。
「そうだ!こんなに日差しが照ってるんだから、ひまりは日陰に居ないとだろ?身体冷えたら大変だし、上着も着ないとな!あと、あれだ!変なヤツに絡まれる!!いや、それは俺が守るから大丈夫だ!!」
1人で喋って、1人で騒いでいるはじめが‥可愛いくて、可笑しくて。私は堪らず‥吹き出した。
「ふふっ‥、そっか!」
‥嬉しいな。
突然、笑い出した私に笑い事じゃないぞ!と、口を尖らせるはじめ。
「‥ありがと!はじめ。」
「‥お、おぅ??」
上機嫌になった私に少し落ち着きを取り戻すはじめに、
「可愛いって‥言ってくれてありがと。‥嬉しい。」
そう言って、少し照れながらはじめを見上げた。
「あ〜!!も〜!!!」
嬉しくてはにかむ私を見た瞬間、さらに真っ赤になってそう叫びながら頭を抱えて砂浜にしゃがみ込むはじめ。