私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第16章 夏休み2
「いや〜悪いな!野菜の収穫してたら遅くなっちまってさ!」
そう言いながら、笑うはじめ。
「お昼に皆でバーベキューしようと思って、杉下に手伝って貰って野菜持って来たぞ!」
杉下くんの持っている荷物を指差して得意げに胸を張るはじめに、ハイハイと頷く一同。
「はじめ、場所取りしないとだから行こう?」
私は、延々と語り続けそうなはじめの腕を引っ張り海岸に向かって歩き出した。
沢山の人で賑わう海岸の空いている場所に、ビーチパラソルを立ててレジャーシートを敷き荷物の置き場所確保を終えた私達は、大会まで時間があるので海に入る事にした。
‥のだが。
「あ〜‥私やっぱりここで荷物番してようかな〜‥?」
「ひまり、アンタね‥可愛い水着も買って?せっかく海に来たのに?」
「まさか、今さら海に入らないなんて言わないよねぇ〜?‥ ひーちゃん?」
既に着替えを終えて、砂浜で準備運動をしている男性陣の後ろで静かに繰り広げられている絶対に上着を脱ぎたくない私VS上着を脱がせたい椿とことはの戦い。
海に来る数日前に、椿とことはと一緒にショッピングに行って新しく水着を購入したのだが‥この水着が問題で。
私は体型がコンプレックス。
身長が低い上に、スタイルも平凡。
女性らしい膨らみも‥あまりないので、着るなら絶対にワンピースタイプにすると決めていた。
‥それなのに。
絶対にこっちの方が可愛い!と、2人にゴリ押しされた水着はビキニで。渋る私に、お店のお姉さんが気を遣って胸をカバー出来るデザインと、太ももやヒップラインをカバー出来るスカートをビキニの上に履く事をオススメしてくれたので渋々購入した。
上はオフショルダータイプ。
店員さんのおかげで、膨らみは胸囲のフリルがカバーしてくれているが‥お腹周りが思ったより大胆に空いていて、スースーしているのがどうにも気になって仕方ない上に、着慣れていないから余計に恥ずかしい私は、そんな訳で上着を脱ぎたくないのだ。
‥数分後。
「お〜い!ひまり、ことは、椿野〜!まだ準備終わらないのか〜?」
準備運動を終えたはじめが、なかなか集合しない私達に痺れを切らして声を掛けてくる。
「ほら、早く!大丈夫よ、すっごく可愛いから!」
「ひーちゃん、梅絶対喜ぶよ?ね、行こ!」
「‥恥ずかしいよ‥」