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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第15章 夏休み



私とはじめが、まだ高校1年の時。下剋上制度により内部での抗争が絶えず荒れていた風鈴高校。今と違って、風鈴高校の生徒と不良達は街の嫌われ者だった。

そんな粗暴な不良達を柊や椿‥今の四天王達と共に一掃し街を守る集団"ボウフウリン"にまとめあげた、はじめ。

一躍街の英雄となった。

この頃、そんなはじめやボウフウリンに憧れる少年達が数多く現れた。杉下くんもその内の1人だった。

ー熱心に風鈴高校に出入りしている、はじめの狂信者がいる。

そんな噂をこの頃、お店に来る風鈴高校の生徒から聞いた。

そんなある日の事。

買い物に出掛けた先で、不良達に絡まれた私。
ボウフウリンの見回りが終わる頃合いを狙っていた輩に運悪く出くわした。毎回この時間には外に出るなと、はじめに言われていたのにこの日は約束を破ってしまった。

まだ、護身術も何も身につけていない頃。
道行く人も皆、下を向いて逃げて行ってしまって。
抵抗する間もなく腕を掴まれて何処かに連れて行かれそうになっていた‥その時。

背後から現れた何者かによって、私の腕を掴んでいた男が2人同時に前に飛んで行ったのが見えた。

一緒、何が起きたのか分からず呆気に取られた私は、数秒後に恐る恐る後ろを振り返った。

振り返った先にいたのは、近くの中学校の制服を着た長身の少年。少し長い髪の毛を振り乱して、私を鋭い目で見ていた。

その少年が放つ気迫に、固まって動けない私。

少年は、私の無事を確認すると安心した様に踵を返して去って行こうとした。

「‥あ、待って‥!」

私は慌てて声を振り絞り、去って行く背中に呼び掛けた。

私の声に足を止めてこちらを振り返った少年。

「あの、助けてくれてありがとう‥!」

私は頭を下げて御礼を言った。

顔を上げて見ると、目の前の少年は軽く頭を下げて行ってしまって。

あの子‥どこかで見た気がする‥?
そしてふと、数日前の事を思い出す。

はじめ達がお店に来ていた時の事。
窓からこちらを見ていた子が居て、彼にそっくりだった事を思い出した。

その子は、私の視線に気付いたら慌てて居なくなっちゃったけど‥。

もしかしたら、あの子が"はじめの狂信者"‥?

確かその子は、中学生なのに実力を認められて風鈴高校への出入りと、ボウフウリンを名乗る事を許可されてるって言ってた。






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