私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第13章 日常
「本気で大好きな相手だからこそ言えない事もあるって事よ!」
「私や、他の女の子達に言ってる"好き"と"可愛い"は意識してないから簡単に言えるの!梅は本当にひーちゃんが大好きなんだよ?」
その2人の言葉に思い当たる事があった私。
確かに私‥はじめにあんまり"可愛い"とか"好き"って言われてない‥とか。それに‥私もはじめに"カッコいい"とか"好き"って全然言ってない。というより‥言えないかも‥とか。
‥それもこれも全部、はじめの事が好き過ぎて恥ずかしいからで。
「恥ずかしくたって、照れ臭くたっていいじゃない!」
「うん‥」
「本気の恋愛って事だしね!それに、そういう気持ちもずっと大事にして‥忘れちゃいけないものだと思う。」
‥本当、頼りになる2人。いつも私達を優しく笑顔で見守ってくれて。背中を押してくれる。
「きっと、少しずつ慣れていくから大丈夫よ。」
「ひーちゃんは変じゃなくて、純粋過ぎるの!」
感謝してもしきれない。
「そっか、私‥変じゃなかったんだね。良かった‥ありがとう。」
ようやく色々な気持ちの整理がついて笑顔になった私に、スマホを差し出してくる2人。
「‥じゃあ、もう梅に素直な気持ち言えるわよね?」
「梅に伝えてあげて?‥本当のこと!」
「‥うん!」
スマホを受け取って、迷いなく通話ボタンを押した私。言いたいことは1つだけ。
〜♪
ワンコールで繋がった通話。
「‥もしもし?」
「あ‥はじめ?」
「ひまり?‥ごめん‥急に行けないとか言って」
「ううん、あのね‥」
「‥どうした?」
「‥本当は、今日会いたかった。だけど、昨日の事思い出しちゃうとずっとドキドキして恥ずかしいから‥嘘ついたの。」
その言葉に、電話の向こうで息を呑むはじめ。
「‥だからね?」
「‥うん。」
「会いたい。‥今すぐ。」
「‥!!分かった、すぐに行くから。」
そう言ったと同時に、激しい物音とともに通話が切れて。私は見守っていた2人にピースサインをして微笑む。
そして、嬉しそうな私に状況を察してそそくさと帰っていった2人を見送って数分後。息を切らして全力で走って来てくれたはじめ。
お互いに顔を見たら嬉しいけれど、やっぱり照れ臭くて。暫く背中合わせで座っていた私達。
‥大好き。
‥大好きだ。
ー口に出さなくても伝わってるよ。