私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第13章 日常
思わず口から出てしまった言葉に、気付いた時には遅かった。目の前のことはの怪訝そうな顔に慌てて弁解する。
「いや、あの‥風邪移るといけないから良かった、って意味だよ?」
「‥ホントに??」
「う、うん‥。」
「あ〜‥さては梅と何かあったな〜?」
その言葉に危うく、スプーンを落としそうになる私。
「な、何にも??ないよ、うん。全然‥」
そう言いながら誤魔化すように雑炊を口に運ぶ私に、
「ふ〜ん‥?そういえば昨日の話、まだ聞かせてもらってないな〜‥?」
と、ニヤニヤしながら詰め寄ってくることは。
完全に何かあるって思われた‥。絶対に話すまいと思ったその時。
"ピンポーン"
‥タイミング良くチャイムの音が鳴った。
「あれ、誰だろ‥梅かな?」
そう言って玄関に向かったことはが連れて来た人物は‥
「ひまり〜、体調大丈夫?」
椿だった。
あぁ‥完全に嫌な流れ。
「何か様子が変なんだよね、ひーちゃん。」
「変〜?別に普通じゃない?」
そう言った椿が、あ!と手を叩き。
「梅に会えないから寂しいとか、昨日何か進展があって会うのが照れ臭いとか??」
と、言ってニヤニヤしながら私の頬をつついて来た。
「‥‥っ。」
椿のその言葉に、途端に真っ赤になる私の顔。
「‥え??ホントにそうなの?!」
「ひーちゃん、ホント?!」
と、楽しそうな椿とことは。
そう‥この2人は超仲良し。大体いつもはじめと何かあるたびに、息ピッタリな2人に私はイジられていた。付き合い始めても、友達と何も変わらない関係の私とはじめに呆れていたから進展があったと言ってしまったら間違いなく尋問される。
そう思い、黙(だんま)りを決め込んだ私。
「そういえば今日1日、梅も様子が変だったのよね〜」
「ふ〜ん、梅が変なのはいつもの事じゃない。」
チラチラとこちらを見ながら楽しそうな2人の会話を、必死に聞かないようにするがめちゃくちゃ気になる。
「ボーっとしちゃってね?菜園の野菜に水かけすぎちゃってたりとか‥」
「暑いから元気ないんじゃない?」
「え〜?どんなに暑くてもいつもパワー有り余ってるあの梅が??」
‥水の入ったコップを口に付けたまま聞き耳を立てる私に。
「もしかして‥?」
「そうなのかしら‥?」
ニヤリ‥と、意味深な笑みを浮かべる2人。