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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第13章 日常



翌朝。
目を覚ました私はベッドから動けず。
昨日1日動き回り、暴れた私の身体はその代償をきちんと受けていて、手元の体温計は38.5℃を示している。

「う〜‥、ダルい‥。」

熱のせいでボーッとする頭。寝返りを打つのも億劫で、ひたすら仰向けで朝からずっと天井と睨めっこしている私。

事情をことはに説明し、お店はお休み。夕方、学校が終わったら夕飯を作りに来てくれると連絡があった。

‥〜♪

スマホから通知音が聞こえてメッセージを確認すると‥はじめからだった。開くと、長文で。相変わらず過保護な文面に私は苦笑した。

"夕方、お見舞いに行くよ"

1番最後に書いてあったその言葉を見た瞬間。私の本能が警告を出した。

今、会ったら絶対さらに熱上がる‥。

"移るといけないから、来なくて大丈夫。"

そうメッセージを送った瞬間、即既読が付いて‥

"俺は、風邪引かないから大丈夫だ!"と。

私は頭を抱えた。だから、そういう事じゃないんだって‥はじめ。勿論、来てくれるのは嬉しいし有難い。けれど昨日から私はおかしいから。昨日から頭の中は、はじめの事でいっぱいで考えるだけで心臓がこれでもかという程うるさい。

昔は無邪気で、可愛らしい印象だったはじめ。高校生になった頃から少しずつ大人っぽくなって‥急にカッコ良くなった。元々カッコいいんだけどね。でも、こんなにカッコよかったっけ‥?とか。

‥状況が色々と変わって意識し始めたからかもしれないけれど。

「あー‥、駄目だ。頭痛くなってきた‥」

とにかく、こんな状態で会いたくないのだ。

そんな事を考えながらいつの間にか眠ってしまっていた私は数時間後、台所から漂う良い匂いで目を覚ました。

「ひーちゃん、起きた?体調どう?」

目覚めた私に気付いたことはが、台所からひょっこり顔を覗かせて具合を聞いてくる。

「お帰り、ことは。うん、だいぶ良くなった。」
「良かった!雑炊作ったから食べて。」

ベッド脇のテーブルに置かれた、食欲をそそる香りを漂わせる小鍋に私のおなかが鳴る。

「いただきます。」

と、早速スプーンを手に取る私にどうぞ、と笑顔のことは。ニコニコと私の様子を見ていたが、ふと思い出したようにスマホを確認して表情を曇らせた。

「あ、そういえば‥梅が来れないかもって。」

‥瞬間、無意識に出た言葉。

「‥良かった。」
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