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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第12章 再出発・動き出す恋



数分後、火照った顔の熱が冷めた私はようやくお店に入った。

「ことは、ただいま!」
「ひーちゃん‥!!お帰り!」
「‥ありがとね。」
「‥梅と、仲直り出来た?」
「うん。」
「それなら良かった。」

私は、店番をしていてくれたことはにお礼を言ってドアを指差し、

「もう、大丈夫だから。はじめが外で待ってるから行ってあげて。」

と、帰りを促した。

‥ことはもはじめと同じ施設で育った。だからはじめは、実の妹のようにことはを可愛いがり溺愛しているのだ。外出する時は、私の送り迎えを兼ねてことはの送迎もするのが日課になっている。

「げっ‥、は〜い‥」
「げっ、て‥そう言わないであげて?」

‥はじめが溺愛し過ぎて、ことはがウザがっている事は内緒。

私の言葉に、いろいろ聞きたかったのに〜と唇を尖らせて溜め息をつきながら渋々帰る支度を始めることはに苦笑する。

「ひーちゃん、おやすみ〜」
「ひまり、またな!」
「うん、2人とも気を付けて帰ってね。‥おやすみ!」

手を振って別れた後、私はお店の入り口から帰って行く2人の姿が見えなくなるまで見送った。

2階に上がって靴を脱いだ瞬間、急に先程の出来事がフラッシュバックしてきて顔が熱くなる。どうしようもない感情にたまらず、ベッドに思い切りダイビングしてクッションに顔を埋めて高鳴る胸に足をバタつかせる私。

‥キス、しちゃった‥はじめと。
どうしよう‥嬉しくて心臓が爆発しそう‥。

冷めやらぬ感情にそんな事を考えながら、1人で悶々としていたその時。

‥〜♪

静かな部屋にメールの通知音が鳴り響いた。
開くと、はじめからで。

"ゆっくり休んで、薬ちゃんと飲むんだぞ?おやすみ"

というシンプルなメッセージの下に、変な野菜のスタンプの文面。いつもと変わらないやり取りのはずなのに何故か顔がポッと熱を帯びて来て。

‥幸せな気持ちでいっぱいになった胸が今にも張り裂けそうになる。

そんな幸せな気持ちを噛み締めながら、改めて今日1日お世話になった皆にメッセージを送る私。

楽しい事、嬉しい事‥とにかく色々な事があり過ぎて。‥胸いっぱいの幸福感に泣きそうになる程。

やがて全員にメッセージを送り終え、今日1日の疲労が睡魔となって襲い来る頃。

私は静かに、心地良い眠りの中へ意識を手放した。




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