私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第11章 はじめとわたし2
その知らせを聞いた私はすぐにはじめに会いに行った。そして、対応してくれた施設長からはじめの両親ときょうだいが亡くなった事と、親戚が居なかった関係で今まで色々な施設を転々としていた事を聞かされて愕然とした。
私と同じ9歳の年。
そんな年で天涯孤独になったはじめの事を思うと胸が張り裂けそうだった。
やがて施設長に連れられてやって来たはじめは‥別人の様だった。無表情でやつれた顔。精神的なダメージからか真っ白になってしまった髪の毛。人との会話もままならず、食事も取れない日が続いていた。
私は何と言葉をかけたらいいのか分からず、変わり果てたはじめの姿に泣いていた。私を見ても、何も見えていないかの様な虚な瞳が悲しかった。私はせめて食事だけでも取って欲しいと思い、はじめが大好きだったポトスのオムライスを作って毎日施設に通う事を決めた。
そして、数日が経った頃。
ずっと黙っていた君が始めて口を開いた。
「オレに関わらない方がいい。」と。
俯きながら言うはじめに私は問いかけた。
「どうして‥?」
私の問いに君が悲しげに言った言葉。
「オレは人殺しだ」
‥人、殺し‥?
困惑する私に、もう来ないで。と言って去るはじめ。呆然と去って行くその背中を見ていた。
その出来事から数日後、事件が起きた。
‥はじめが居なくなったのだ。
連絡を受けた私は、施設長と一緒に街中を探して回った。
街中探し回って、やがて夜になる頃にようやく見つかった君はボロボロで傷だらけだった。
施設長の背中におぶられて戻って来たはじめに、どうしてそうなったのかを聞いた。
「オレのせいでみんなが死んだから、罰を受けて地獄に行こうとした」と。‥死のうとしていた事を話してくれた。
「‥どうして‥?」
ショックを受ける私に、事故が起きた日はじめが寄り道をしていた場所で轢かれそうになった所を庇って両親ときょうだいが亡くなった事、そんな自分を責めてずっと泣けずにいた事を話してくれた。
全部話し終えた後、大声で泣き出したはじめから‥事故で自分を庇った両親は最後笑っていたと聞いて。
「‥はじめのお父さんとお母さん、はじめの事大好きだったもんね。」
「そう、なのかな‥」
「大好きじゃなかったらそんな事出来ないよ‥だから、素直に寂しいって、会いたいって言っていいし思っていいんだよ。」