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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第10章 七夕の夜



ー商店街に響く優しい風鈴の音。
その音色を聞きながら、はじめと手を繋いでゆっくりと歩いていた。見慣れた景色に七夕飾りと街の人々の笑顔が溢れていて、いつもより明るい通り。

街の見回りは、気を遣って柊と椿達が引き継いでくれたので私達はありがたく穏やかな時を過ごしていた。

時折、足を止めて短冊や飾りを眺めたり写真を撮ったり。場所によって異なる装飾は見ていて飽きない。

はじめも楽しそうで嬉しい。飾りを辿って歩き、やがて街の中央広場まで辿り着いた。

そこにあったのは、巨大な七夕飾り。1番のメイン。
その下には短冊や飾りが沢山用意されていて、そこから自由に飾りを取って街の人々が装飾するのが毎年恒例になっている。

そこでいつもの様に、飾りを選び始める私達。

「ひまりはどれにする?」
「う〜ん‥。」

色とりどりの飾りに目移りしながら、はじめに聞かれて私が手に取ったのは金色の折紙で出来た星形の飾り。

「‥今年はこれにする。」

短冊は選ばなかった。願い事はあるけれど‥私1人分じゃなくて皆の願いも込めたいから。だから、星にした。

「じゃあ、俺も今年は違うのにしようかな。」

そんな私の気持ちを察した様に、はじめも飾りを手に取った。
はじめが選んだのは、私と色違いの同じ銀色の星形。

「やっぱ、願い事するなら星だよな!」

そう言って飾りを私に見せながら、はじめはニカッと笑った。

‥はじめもきっと同じ事考えてるよね。

そんな事を思いながら一緒に笹の葉に、選んだ飾りを結び付けた。寄り添って風に揺れる2色の星。その星を真ん中にして2人で写真を撮った。

スマホに映る楽し気な自分達を確認しながら、ふと空を見上げると辺りはもうすっかり暗くなっていて。

「‥今年も、天の川見えるかな?」

ポツリと呟いた私の言葉に、はじめも空を見上げた。

「う〜ん‥どうだろうな〜?」

まだ街の明かりが眩しくて、あまり良く見えない夜空。今日は快晴だったから見えるといいな。

そんな事を考えていた時。
はじめが突然、あ!と声を上げた。

「どうしたの?」
「じゃあさ、今から家で皆で花火でもしながら観測するか?」





























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