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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第9章 脱・お姫様[終]決行、陽の下(もと)へ



怒りのあまり肩で息をする私と地面で伸びる男。‥その周りには目が点の取り巻き達。

「あー、スッキリした!」

私はそう言いながら両手をパンパンと払い、乱れた服装と髪の毛を直した。

「‥ ひまり??」

信じられないものを見る様な顔で私を見るはじめ。はじめと共に駆けつけて来たボウフウリンの面々も私に唖然としている。微妙な空気が漂う中、地面で伸びていた男が意識を取り戻しコソコソと逃げて行く。それに便乗して取り巻き達も、すみませんでしたー!!と謝りながら逃げ去った。

「カッコ悪いなぁ‥」

その情けない後ろ姿に呆れ返る私。

‥沈黙を破ったのは椿だった。
背後からガバっと抱きつかれる。

「ひまり〜!!最っ高!!カッコよかったわ〜!!」
「椿、苦しい‥」

ぎゅうぎゅうと抱きしめられ動けない。チラリとはじめの方を見ると、はじめの背後で胃薬を過剰に摂取し始めている柊が見えて苦笑した。

ごめんね。実戦しない約束破っちゃって。本当に私でも体格差のある男に勝てちゃった。やっぱり流石だよ‥柊。

「王子が待ってるから‥行って?」

私を解放した椿に背中を押されて我に返り、はじめにゆっくり歩み寄る。

はじめは困った様に頭を掻いて私から顔を背けた。

「はじめ、ただいま。」

背けた顔を覗き込んで微笑む。

「お帰り‥。」
「‥びっくりした?私ね‥」

戦えるんだよ‥と、言いかけた瞬間。抱き寄せられてはじめの腕の中に包まれた。

「無事で良かった‥。怪我‥してないか?」

私の後頭部に優しく手を当てて聞いてくる。

「大丈夫、してないよ。」

私もはじめの背中に手を回して抱きしめる。逞しい胸に顔を埋めて胸いっぱいにはじめの香りを吸い込む。お日様みたいないい匂い。安心する。
‥やっぱり近くにいたい。

「はじめ」

下からはじめを見上げて口を開く。

「昔、私に言ってくれた事覚えてる?」
「‥お姫様の話?」

覚えててくれたんだね。

「そう。‥私に強いって言ってくれたよね?」
「うん。だけど‥病弱な事とか、よく分かってない時で無責任な発言だったから。」
「それでも‥私は嬉しかったよ。」

一緒にいてもいいんだって。
そう強く思えたから。

「自由を奪ってたのは‥俺の方だ。」

私を見つめてそう言うはじめはとても悲し気で、辛そうな顔をしていた。








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