私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第9章 脱・お姫様[終]決行、陽の下(もと)へ
肩を掴まれて振り返ると‥目の前にガラの悪い男が5人。振り返った私達に嫌な笑みを浮かべながら近付いて来る。
「うわ、お姉さん達めっちゃ美人じゃ〜ん!」
「かーわいー!」
「オレ達と遊んでよ〜」
私はその中のリーダーらしき男に肩を抱き寄せられた。
「‥触らないで。」
私はその手を振り払って睨みつける。
「へ〜、気が強くて可愛いとか最高じゃん。オレ、君タイプだな〜」
しつこく腕を掴まれる。
「触らないでって言ってるでしょ!」
‥しつこい‥!!徐々に腹が立ってくる。
隣で椿も絡まれており、手は出さないがイラついているのが分かる。
「そんな冷たい事言わないでさ〜オレ達と遊ぼうよ、ね?」
「結構です。」
男と距離を取りながらあしらっていると、カバンの中でスマホが鳴った。
はじめかな‥
スマホを確認しようとした手も掴まれる。
「もしかして、彼氏〜?」
「あなたに関係ないでしょ。」
振りほどこうとした私の手を強い力で押さえつけてくる男に沸々と怒りが湧き上がる。そんな私の怒りに気付かない男は身動きが取れなくなった私の耳元に顔を近づけて囁いて来た。
「どーせつまんない男なんだろ?オレが"お姫様"扱いしてあげるからさ〜。一緒に‥」
‥盛大に私の地雷を踏み付けた。
瞬間、私は掴まれていない方の手で男の手首を思いっきり手刀し、突然の事に驚きバランスを崩した男の足元を蹴り飛ばして地面に転がした。
「は‥‥??」
何が起きたのか分からず、間抜けな顔をして地面に転がった男が私を見上げてくる。周りの男達と椿も呆気にとられていた。
「私の彼氏は魅力たっぷりで世界一かっこいいわよ?」
私は、見上げる男にフンと鼻を鳴らしてそう吐き捨てて冷たい目を向ける。
「はぁ??そんなの知らねーし!どーでもいいんだよ!!」
私の言葉に、立ち上がり拳を振り上げてくる男。
その時。
視界の端に必死の形相でこちらに向かって走って来るはじめの姿が見えた。椿も私の名前を叫んで手を伸ばしている。
私はそんな絶好のチャンスに笑みを浮かべ、男が振り上げた拳を避けてそのまま男の腕とシャツの襟首を掴み体制をグッと低くした勢いと反動で思いきり男を背負い投げした。
「私は、守られてるだけのお姫様じゃないんだからー!!!」
ー私の渾身の叫びと同時に地面に落下する男。