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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第9章 脱・お姫様[終]決行、陽の下(もと)へ



‥私は姿見に映る自分に驚いた。

そこに居たのは年相応の可愛らしさも残しつつ大人びた雰囲気の、コンプレックスをカバーした完璧な姿の自分で。

気付けば、今日の私に君はどんな反応をして何を言ってくれるのかな?とか考えて。
‥デートの前ってこんなに楽しいんだなって。私はドキドキと幸福感に包まれていた。

はじめに早く会いたい。
ただそれだけ。

やがて椿も支度を終え。
お互いに行きたいお店をスマホで検索しながら玄関に向かう。
椿に選んで貰ったサンダルに足を通して立ち上がり、夏空に踏み出す。

ーいよいよ決行の時。

庭で咲き誇る向日葵が、そんな私と椿を見送る様に。
初夏の風に優しく揺れていた。

***

目的地はここから近い繁華街。
若者が多く集まる華やかな場所。
楽しくお喋りしていたらあっという間に着いた。

そして繁華街に入って数分後。

何か、視線が痛い‥
道行く人々の視線が私達に集まっている事に気付いた。隣を歩く椿は全く気にする素振りも見せずに堂々としている。椿は普段からその美貌とスタイルで注目を集めやすいので、慣れっこなのだろう。

私は慣れていないのもあり‥マイナス思考に陥っていた。一緒に歩くと何だか浮いている様な気がして。変なのかな?とかモヤモヤして。不安になって自然と俯(うつむ)きがちになる。

そんな私の様子に気付いた椿が足を止めて顔を覗き込んで来た。

「何でそんな暗い顔してんのよ?」
「‥凄い見られるから、私何か変なのかなって‥」

そう言って不安そうな顔をする私に椿は笑い出した。

「‥‥?」
「ひまり、あんたはホントにも〜‥」
「‥あ!服は可愛いのに私にはあんまり合ってないとか?やっぱり背伸びし過ぎない方が良かったのかな‥??」

1人でそんな事をブツブツ言いながら落ち込み始める私に、呆れ顔の椿。

「あのねぇ‥みんなが見てるのは私よりあんたの方よ?」
「‥え、椿でしょ?」
「あー‥そりゃあとっても美人な椿ちゃんが視線を集めちゃうのはトーゼンだけどね?」
「でしょ?」
「今この場所で1番輝いてるのはひまり‥あんたよ?」

自分の容姿に関しては正直‥良く分からない。けれど椿がそう言ってくれるならそうなんだろうと思う事にした私は笑顔で顔を上げた。

「‥そっか!‥ありがとね。」
「‥いーえ♪さ、自信持って行きましょ!」



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