私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第8章 脱・お姫様4 girls talk
私の前では見せなかったはじめの意外な姿。
一気に入って来た情報に頭が追いつかない。
「えーと、つまりね?梅はあんたが大好きすぎて人目に晒したくないのもあるって事よ。」
「いやいや、ちょっと、ちょっと待って‥」
「あー!!もうっ!!」
いつまでも煮えきらない態度の私に、椿が声を荒げる。
「‥今まで気付いてなかったかもしれないけどね?あんたがお店に来てる常連さんとか、他の男の人と話してるの見てる時の梅は嫉妬まみれよ?」
「‥はい??」
「アタシにだって嫉妬してるんだから。」
はじめ‥嘘でしょ‥
信じられないけど凄く嬉しくて。
何故か頬が火照ってくるのを感じた。
「ほら、見て?」
そう言って突然、スマホの画面を見せてくる椿。
見せられたのは‥椿とはじめのトークのやり取り画面。そこには先程ふざけて撮った椿と私の写真と‥メッセージ。
"可愛いでしょ?梅のお姫様、独り占めしちゃうわね♪"
そこに書いてあった椿のメッセージに、はじめの返信は‥
"ひまり可愛い!!ずるいぞ椿野〜!!俺も一緒に撮りたい!!!あと、くっつきすぎ!!駄目だぞ!!!"
と、その下にいじけている野菜の変なスタンプ。
「‥ね?」
本当に君は‥‥
「ふふっ‥」
笑みが溢れて止まらない。
器用そうに見えて意外と‥不器用なんだね。
見せない素顔可愛いすぎるよ‥。はじめがいじける姿を思い浮かべて胸がキュンとする。
そんな話をしていて気づけば、時刻は間もなく零時になろうとしていた。
「あー、スッキリした!!」
「椿、ありがと。」
「べっつに〜?もどかしいあんた達にこれ以上悩まされたくないし?」
「も〜素直じゃないんだから。」
「‥明日はとことんアタシに付き合ってよね。」
「うん。」
照明を消して布団に入る。
"おやすみ"
背中を向ける椿に声を掛けて目を閉じた。
はじめが内緒にしてた事‥意外な形で知っちゃったよ?ちょっと悔しいから意地悪したくなった。
‥明日が楽しみだね?椿。