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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第7章 脱・お姫様3 王子と姫の誕生秘話



「オレさ、好きなものの話してる時の椿野の顔が好きだ!だから次また傷付けられたり奪われそうになったらオレを呼べ。一緒にぶっとばしてやる。」

そう言って躊躇う椿に、な!と笑いかけたはじめ。

暗闇の中で溺れかけていた椿を救い出した‥魔法の言葉。

‥本当にカッコいいよね。

その言葉に笑顔ではじめの手を取ってくれた椿。
はじめはこの日から椿にとって恩人で、大切な友人で。

‥"白馬の王子様"だった。

***

そして月日が流れ、中学3年の七夕の日。
商店街の七夕飾りを3人で見に行った。

七夕だったからかもしれない。
今までずっと言わずに心に秘めていた気持ちがどうしようもなく大きくなっていて。

‥はじめへの想い。

私が始めて会った日からずっとはじめに抱いていた恋心。それを伝えたくて私はこの日。意を決してはじめに告白しようと決めていた。

けれどこの日‥小さな奇跡が起きた。

それは、椿と別れてはじめと2人で歩く帰り道での事。"好き"と伝えようと口を開いた私の手を掴んで立ち止まったはじめから私が‥告白されたのだ。

"‥ひまりが好きだ。‥俺に守らせて欲しい。"
”私もはじめの事‥初めて会った時からずっと好きだった。"

はじめからの告白と、お互いの想いが通じ合ったのが嬉しくて。
しばらく2人で照れながら笑い合ってた。

"いつか2人に恩返しがしたい"

そう言っていた椿が、この日短冊に書いていた願い事。

"王子と姫が幸せになりますように"

見ないフリをしたけど。

‥ごめんね見ちゃった。

思い返せば、誘ってくれたのは椿だった。
椿は最初から私とはじめの気持ちに気付いてたのかな。
もどかしいのが嫌いな椿だから。
きっと‥叶えてくれたんだね。

「椿‥大好きだよ。」

そう呟き、チクリと痛む胸に手を当てながら私はアルバムを閉じた。

ー貴方にとっての白馬の王子様はこの時、私の王子様になったけれど。

これからも変わらず。


‥ずっと側にいてね。




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