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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第7章 脱・お姫様3 王子と姫の誕生秘話



「はじめ、待って!違うの!」

一触即発な空気に慌ててはじめを制止する。

「‥どういう事?」

突然現れたはじめに椿も困惑していた。

昨日の出来事は、はじめにも詳しくは話していなかったので2人にまとめて一連の経緯を説明した。

***

全ての説明を終えた後、事情を知った椿が泣き崩れた。何度もごめん、と謝る椿。

「謝らないで、私は大丈夫だから。」

隣に寄り沿って椿を抱きしめる。

「ひまり、髪の毛のケアも頑張って伸ばしてたのに‥」

膝に顔を埋めて泣く椿に私は笑いかける。

「親友を守れた名誉の勲章だよ?ね、長さもお揃いだし嬉しい!」

髪の毛を指差して誇らしげな私。

「‥‥。」

いつまでも顔を上げない椿に、それまで黙って話を聞いていたはじめが話しかけた。

「なぁ、椿野。」
「‥‥何。」
「椿野って、何で髪の毛伸ばしてんだ?」

その問いを聞いた瞬間、ガバッと顔を上げて椿が声を荒げる。

「‥何?お前もあいつらと同じなわけ?変だって言いたいの?」
「いや、そうじゃなくてさ。あ、気を悪くしたならごめんな!」
「‥?」
「好きだから伸ばしてんだろ?けどさ、髪の毛の手入れとか大変じゃないのかなーって!」
「え‥?」
「オレは起きて寝癖とかそのままでも気にしないけど、椿野の毛ってサラサラで綺麗だよな!」

はじめの言葉に何が起きているのか分からないという顔で困惑する椿。

「男なのに髪の毛伸ばして気持ち悪いとか思わないの‥?」
「え?気持ち悪い?何で??」

きょとんとするはじめに唖然として私を見てくる椿。
私は微笑んで”最後まで聞いて?"と頷く。

「‥今までそんな事ひまり以外に言われた事ないから‥」
「そうか〜周りは分かんないけどさ!オレはカッコいいと思った!」
「カッコいい‥?」
「うん!女の子って手入れとか大変なのに髪の毛伸ばしてアレンジとかするだろ?」

黙ってはじめの言葉を聞く椿。

「大変なのに楽しそうでさ、ああいうのいいなーって!オレには出来ないからそれを頑張ってる椿野は凄いと思うよ。」

驚きで硬直する椿。

「オレ、椿野と友達になりたい。」
「でも‥一緒にいたらまた大切な人を巻き込んで傷付けるから‥」

私を見ながら、差し出されたはじめの手を取ろうか躊躇う椿。そんな椿に後押しするようにはじめが言った‥ある言葉。

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