私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第7章 脱・お姫様3 王子と姫の誕生秘話
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椿は私の親友でボウフウリンの一員である。そして総代を支える大切な役割である四天王の筆頭も務めている。
そんな椿と私の出会いは小学2年生の時。
はじめと椿の出会いは中学1年生の時だった。
私は体調がいい時にしか学校に通っていなかったのではじめ以外の友人がほとんどいなかった。
そんな時、祖父母を通じて出会ったのが椿で。
年が同じだった事もありすぐに仲良しになった。
小学校は別々だったけれど、中学校は同じ所に通えると分かって2人で大喜びした。
‥けれどその頃の椿は。
笑顔の裏に様々な苦悩と葛藤を抱えていた。
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出会いのきっかけは祖母の落とし物。
祖母が大切にしていた"ブローチ"を拾ってくれたのが椿だった事。
椿の家が祖父母の近所だった事もあり、この出来事を機に椿は毎日祖父母の家に遊びに来るようになり仲良くなった。
そしてとある日。
私に自分の中にある"想い"を話してくれた。
‥自分は男だけど、"可愛くて綺麗なものが好き"と。
驚きはしたが変に思ったりする事なんてなかった。
「私は好きなものは好き。って胸を張っていいと思う。」
私のその言葉に椿は泣いていた。
椿は、家族や友人の前で本音を隠している"偽りの自分"が嫌で。でも本当の自分をさらけ出す事で貶されたり、除け者にされて1人になるのが怖い。と、打ち明けてくれた。
そんな想いをずっと1人で抱え込んで辛かったと思う。
私と祖父母は椿が大好きだった。
優しくて、笑顔が可愛くて。
一緒にいるのが楽しかった。
椿が祖母の鏡台の前で目を輝かせながら見ていた口紅。
何となく気付いてはいた。
椿が"普通"とは少し違う事。
"普通"になりたいけどなれない苦しみ。
人の気持ちに敏感な祖父母はそんな椿に言った。
"私達は好きなものを好きでいるたすくちゃんが好き"と。
祖母が葛藤の狭間にいた椿の背中を押すように塗ってあげた口紅はとても良く似合っていて。
"椿くん、可愛い!凄く似合ってる!"
私は嬉しかったし、本当に綺麗だと思った。
私達の言葉にようやく心からの笑顔を見せてくれた椿。
"好きなものは隠さず、自分らしくありのままでいる"と言ってくれた。
胸を張って堂々としている椿はカッコよくて常に私の憧れだった。
けれど‥
中学に入ってすぐに残酷な現実に直面した。