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私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】

第7章 脱・お姫様3 王子と姫の誕生秘話



"今夜はお泊まり会よ〜!!"

椿はそう言って一旦、自宅に着替えを取りに帰った。

私はその間にシャワーと夕飯の支度を済まし‥
居間でやっと電源を入れたスマホの画面と睨み合っていた。 

"梅に連絡してあげて"

椿にそう言われて、スマホの電源を切っていた事を思い出し‥画面に表示された通知の量に苦笑していた。

「はじめ‥流石に怖いって‥」

しかし、ここまでさせてしまったのは自分なので意を決して通話ボタンを押した。

‥〜♪〜♪

あれ?珍しいな‥
いつもすぐ出るんだけど‥

〜♪‥

あ、出た。‥が。

「‥プチッ」

‥ん?切れた‥??

その直後、バイブとともに画面に"はじめ"と表示される。

‥??

再度通話ボタンをタップして

「もしもし‥」

と、言いかけた瞬間‥

「ひまり〜!!!」

‥耳にダイレクトアタック。

「はい‥。」

あまりの大声にスマホを耳から離した。

「あ!!さっきは間違えて電話切っちゃってごめんな〜!!」

慌てるはじめの姿を想像して笑う私。

「そうかなって思った。‥私も、いろいろごめんね。」
「‥‥薬、受け取ったか?」

言い合いには触れてこないはじめ。

「うん、ありがとね。」
「‥‥。」
「‥‥。」

お互いに沈黙。

「明日、夕方には帰るね。」

沈黙を破って私はそう切り出した。

「分かった。じゃあ夕方商店街の入り口に迎え行くよ。」
「うん‥。あ‥でも、椿が一緒だから大丈夫だよ?」
「いや、明日七夕だろ?‥商店街の短冊また一緒に見に行きたいからさ!迎え行くな!!」

はじめの言葉に大切な事に気付く。

そうだ、明日は‥

「‥そうだね。明日楽しみにしてる。」
「おう!また明日な!‥あんまり夜更かしするなよ〜?おやすみ。」
「うん、おやすみ。」
「ああ。」

電話越しに嬉しそうなはじめの気配を感じる。
いつも絶対にはじめから電話は切らないので‥

「‥じゃあ、切るね。」

そう告げて私から通話を切った。

「七夕‥」

そう、明日は大切な記念日。

私は押し入れから一冊のアルバムを取り出して開いた。

‥開いたのは中学生時代のアルバム。

開くと1ページ目にお気に入りの写真。

「懐かしいな‥」

手に取った写真に写っているのは、私とはじめと椿。

日付は七夕。
ー私とはじめが付き合い始めた日。




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