私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第6章 脱・お姫様2 男の娘(おとこのこ)
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「‥‥なるほどね〜。」
私が一通り説明を終えると、アイスを頬張りながら聞いていた椿がそう言って笑い出した。
「面白くは無いはずなんだけど‥?」
怪訝そうな私に何故か嬉しそうな表情の椿。
「ごめん、ごめん!面白いんじゃなくてさ、こう‥何か嬉しいな〜って!」
「嬉しい‥?」
「そ!今まであんた達ケンカとか言い合いした事なんて無かったじゃない?」
「うん。」
「やっとお互いに遠慮なくなったんだな〜って思って。」
「え‥」
「ずーっと気にしてたのよ?アタシ。」
椿はそう言ってスプーンを私に向けてくる。
「アンタ達はさ、仲良し過ぎって言うか‥お互いに優し過ぎるから意見を尊重し合って‥言いたいこと言わずに平和にやってたでしょ?」
「‥‥」
「それって何か悲しいじゃない?お互いに想いあってるはずなのに本音隠すなんてアタシには無理だわ〜」
椿のその言葉に心がとてつもなく軽くなったのが分かった。
そっか、私‥
罪悪感感じる必要なんてなかったんだね。
全部、今の状況を変える為に必要な課程で。
すごく‥すっきりした。
「‥そうだよね。本当はもっと早く、こうしなきゃいけなかったんだよね。」
そう言って真っ直ぐに椿を見る私の心はとても晴れやかで。
そんな私の表情に、悪戯を思い付いた子供みたいな顔で嬉しそうにニヤリと笑う椿。
「‥それで?」
その問いに‥私は。
「もうお姫様は‥守られてばかりの自分は‥嫌なの。だから塔から出る為に‥協力してくれる?」
と、椿の真似をして悪戯っぽく答える。
私の答えに、嬉しそうにそうこなくっちゃ!と椿がウィンクをして指を鳴らす。
「そうと決まれば今夜は女子会よ〜!最近会えてなかったから存分にアタシに付き合ってもらうわね♪」
「‥はいはい。」
椿が突き出して来た拳に、私は笑顔でコツンと自分の拳をぶつけてハイタッチする。
ー久々に楽しい夜が始まろうとしていた。