私の陽だまりくん(前編)【WIND BREAKAR】
第6章 脱・お姫様2 男の娘(おとこのこ)
"椿"こと椿野佑(つばきの たすく)。
一見美少女だが‥本当は"男の子。"
過去に色々な事情があり今の姿になった。
身長180㎝越えのモデル体型。
艶のある綺麗な黒髪のロングヘアは真ん中から毛先にかけて赤色が入っていてお洒落だ。
色白で、メイクが良く映える可愛いらしい顔立ちにパッチリとした大きな目。
さりげなく付けている様々なアクセも抜群に似合っている。
私と椿は小学生の頃に出会った。
通う学校は違っていたがある出来事を機に仲良くなり、今では私の数少ない大切な友人でありよき理解者でもある。
「おや、椿ちゃん。いらっしゃい!中にどうぞ。」
椿に気付いた祖父が笑顔でおいでと手招きする。
「おじいちゃん、こんにちは!お邪魔しまーす!」
私の肩越しに挨拶すると、入りましょ!と腕を引いてくる。
「今日はアイスがあるんだよ、ゆっくりしてってね。」
「わ、嬉しい〜!!何味かしら?ね、ひまり!」
きゃっきゃと手を叩きながら楽しそうな椿。
これ、絶対に私が帰るまで居座る気だ‥
居間に着くと祖父が2人分のアイスと麦茶を持って来てくれた。
「ゆっくりしていって大丈夫だからね。2人で楽しんで。」
私は自室に居るから、と声を掛けて襖を閉めて祖父が出て行く。
2人きりの部屋に数秒の沈黙。
「‥さて、と?」
祖父に笑顔で手を振っていた体をこちらに向けて、今度は不敵な笑みを私に向ける椿。
私は引き笑いを浮かべながら後退りした。
この状況はかなり‥マズい。
「あ!ア、アイス溶けちゃうから〜‥」
「‥梅と何があったのか教えてくれるわよね?」
椿は誤魔化そうと大声でアイスに手を伸ばした私の腕をガッチリと掴み‥ニッコリと見据えてくる。
そんな椿の圧に駄目だと観念した私は‥溜め息をついて事の経緯を説明し始めた。
「実は‥‥」
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