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北風と太陽【黒子のバスケ】

第4章 朝陽


side黄瀬


好き


すげー好き


本音を言えば今すぐにでも抱きたい



手が自由になっていたら暴走してしまいそうで、だけどつばきと離れていることなんてできなくて、手を繋いで離さないでいてもらえたら、暴走することもないんじゃないかって思った。



抱けなくてもいいなんて言いながら、本当は抱きたくてしょうがない。


色っぽくて、甘い声を聞くとおかしくなる
キスをするとつばきの全てを飲み干したくなる
体に触れると欲望が爆発しそうになる



だけど、壊したくない


心も体も大事にしたい


無理させたくない


だからその手で俺が暴走しないように止めててほしい。




物語が始まって、映画を夢中で見るつばきを俺は夢中で見てた



不老不死を信じてもらえないが故に辛い思いをしてきた主人公は、片思いはできても恋愛関係になることに憶病になっていて、思いが強くなると体を重ねる前に相手の前から姿をくらます……ということを繰り返していた


だけど106歳の誕生日を迎えたその日運命の相手に出会った。



どうしょうもないほど惹かれていることに気付いて、また逃げ出した彼女を彼が見つけ出して、真剣に付き合って欲しいんだということを何度も何度も伝えた


彼に惹かれていた彼女はついに根負けして付き合うことを了承、不老不死のことを話すと、驚いてはいたものの彼は“嘘だ”とは言わず、笑うこともしなかった。



たくさん生きている分たくさんの男性を見てきた彼女が、彼なら信じられると……

大事なのは過去ではなく、今隣にいてくれるこの人こそが一番大事なのだと


不老不死という自分ではどうにもできないことを抱えながらも……
たくさんの男性に嘘つきだと罵られながらも……



今隣にいる人を信じることが何よりも大切なんだと彼女自身が気付いていく


そしてクライマックス




80年以上にわたって体を重ねることを避けていた彼女が、ついに彼とベッドに入る瞬間……






いつの間にか座っていた体勢から寝転がって後ろからつばきを抱きしめていた俺の唇に、柔らかくて暖かい……



もう何度も感じてきた温度が、ピタリと重ねられた
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