第4章 朝陽
side つばき
「あ、多分もうすぐ始まるッスよ」
宣伝の間中あたしを構って、頬や髪に触れていた温かい手が離れて少し寂しい様な気がしなくもないけど…
この映画を見たがったのは自分で、せっかく涼太が買ってきてくれたのだからやっぱり一緒に見たい。
二人でソファの背もたれに背中を預けてぴったりとくっついて座った。
タオルケットは2枚用意していたけど1枚に一緒に入るのはもうお約束。
7月で気温も低くないけど、空調の行き届いた部屋であたしが冷えたら体に良くないって、いつも通りあたしのつま先までかかるように長い腕で器用にタオルケットを整えてくれた。
そして整え終えると、私の指を1本1本なぞるようにゆっくりと絡ませてきゅっと優しく握ってくれた
「つばきの手って柔らかくて大好きなんス。…だから今日は離しちゃダメ」
いつもはそんなこと言わないのに…
今日は涼太がいつもよりもあたしに近い気がする
いつもだって手は繋ぐし体もくっつけていることが多いけど、今日は脚も絡まるように捕まえられていて、くっついていないところは本当に顔だけ。
「うん…」
涼太にくっついているのは本当に心地いい
いい匂いがして、硬くて男らしい体で、だけど優しさがにじみ出ていてずっと触れていたくなる
本当に不思議な魅力を持っていて、離れられなくなってしまうのは私の方なのに…
あまりに熱っぽい声と目線に、ドキドキが収まらなくて、意識的にテレビに目を向けると、突然耳に柔らかい唇が触れた
「ぁっ…っ」
反射的に漏れた声に顔が熱を持って一気に血が上った
ホント…近いっ‼‼
近すぎて心臓の音が聞こえちゃう…
「…もし離したら…映画見せない」
色気のある声と熱のこもる湿った吐息で、座ってる腰が一気に崩れそうな程あたしを粟立たせた
「んっ……はなっ……さない…からっ」
「好きだよ…つばき」
横の髪を鼻でどかすように耳から首、首から鎖骨に落ちる温かくて柔らかい唇にどうにかなってしまいそうな程、胎内が熱を持った
涼太はにゴールデンレトリバーにそっくりとかあんずに言われているけど、あたしには一切そう見えない
こんな色っぽい男の人、涼太しかいない
それにこの色っぽさは中性的なものじゃない、本当に男らしい色気だった