第4章 朝陽
まだ外は明るいけど、カーテンを全部閉めて電気も消して
サイドテーブルには冷えたミニボトルのシャンパンとあたしの一番好きなサクランボ。
クッションとタオルケットを持ってきて、二人で使うには広すぎるソファでの映画鑑賞の準備を整えた。
再生ボタンを押して、いつもなら宣伝は飛ばしちゃうけど今日は飛ばさない。
宣伝を見ながらお互いにサクランボを食べさせ合って…
あたしが種を出すのが気恥ずかしくて困ってると涼太が笑って近づいて、するりと口の中から種を持って行ってしまった
この人は……
さらりとナチュラルにこういう色気のあることをするから、本当にたちが悪い
ドキドキしてるのは自分だけなのかと思うと、少しでも涼太をドキドキさせたくて、涼太がシャンパンを口に含んだ瞬間に今度はあたしから重ねて、舌を割り入れた。
でも涼太は少しびっくりした顔をしただけで、すぐにあたしの頭を強く引き寄せた。
少し苦みのあるパチパチと弾ける液体が流れ込んで、こぼさないように飲み干すと、形のいい唇が弧を描きながら、柔らかい指があたしの唇をそっとなぞる。
酔ってしまいそう…
勿論シャンパンにじゃない。
初めて実物を見た時も綺麗な顔立ちだとは思ったけど、ここまでかっこいいと思ってなかった。
こんなにかっこいいの…ずるい……
こんなかっこいい人に愛してるって言われて、甘えていいって言われて、大事にされたらとろとろに溶けてしまう
「ん、あーんして」
あたしがこんなにドキドキしてても涼太は余裕の笑みで、あたしの口元にサクランボを運んで入れてくれる。
「おいし?」
美味しいに決まってるよ…
こんな風に食べさせてもらうなんて、美味しくないわけがないもん
コクリと頷いて美味しいってことを伝えると長い指が顎に触れて、至近距離に涼太の顔
「じゃぁさ、一緒に食べよ」
ゾクゾクする程色っぽい声と、お腹の中が溶かされてしまうような熱い視線にまたドキドキとして、返事が出来ないうちに重なる唇と、あたしごと味わうように入り込んで絡め取られる舌にされるがままだった。
どちらが食べたのか分からない果実と、口内から連れ去られた種
ちゅっと小さい音と共に一気に空気が入り込んで、コツンとおでこがくっつけられた
「ちょー甘かった」
甘いのは涼太なのに…