第3章 escada
sideつばき
“愛してる”なんて言われたのは、生まれて初めてだった。
嬉しくて、涙が込み上げてしまって我慢できなかった.。
なんて返せばいいんだろう
なんて返したらこの嬉しいって気持ちを涼太に伝えられるんだろう。
こんな問題を抱えたあたしが、涼太を愛してるって言って負担をかけないだろうか…
あたしが自分の気持ちを涼太に伝えることで、涼太の足かせになったりしないだろうか…
言いたいけど、言っていいのか分からなくてうだうだと考えていると大きな手があたしの頭をゆっくりと包み込んで…
「つばき?」
今まで聞いたどの声よりも優しい声で名前が呼ばれた。
「ん…?」
「ありがと」
どうして涼太がありがとうなんだろう
ありがとうはあたしだよ?
そう言いたかったけど、何か続きがある気がして、その優しい声をもっともっと聞いてたくて、言葉を挟まずにいると耳元に近づいた柔らかい唇から、そっと言葉が紡ぎ出された。
「俺と一緒にいてくれて、ありがと」
ありがとうはあたしなのに……
嬉しくて息が止まっちゃいそうなことがあるんだって初めて知った
一緒にいたい
来年も、再来年も……そして、この先何十年でも。
あたしはずっとずっと涼太と一緒にいたい。
明日、きちんと話そう。
全て
何一つ隠さずに
自分の口から、自分の言葉で涼太に伝えよう
いい内容じゃないし、見る目がないバカな女だと思われてしまうかもしれない。
だけど、それがあたし