第3章 escada
side黄瀬
(涼太のお部屋に今着いたよ)
機内でウトウトしてた俺に入ったメッセージで早く家に帰りたいと思ってから5時間
時間は夜の11時を回ったところだったけど、玄関を開けるとパタパタとスリッパの音が聞こえて、ずっと会いたかったつばきが子犬のように駆け寄ってきてくれた。
「おかえりなさいっ‼‼」
飛びつくように抱き着いてくるつばきを抱きしめ返して背中を撫でると少し痩せたように感じた。
「ただいま。起きて待っててくれたんスか?」
「だって、会いたかったの」
俺だってめちゃくちゃ会いたかった。
2週間を超える海外出張なんて頻繁にはないから、付き合ってからは初めてで、物理的な距離があることがこんなに想いを募らせることを初めて知った。
キスしたいけど、つばきはどう思ってんだろ
少し体を離して顔を見ると、嬉しそうにニコニコして、目がめちゃくちゃウルウルしてる
頬に触れてゆっくり近づいて………
唇が重なる直前でつばきが背伸びをしてくれた
チュッと軽く触れて、何度も何度も触れるだけの、火神っちが自分の子供にするような本当に軽いキスを繰り返した
「そんな…駄々っ子あやすみたいなの、嫌」
見上げられると、自然と上目遣いになる潤んだ目と不満そうに結ばれた口元
これはもっとしていいって意味で全然間違ってない
キャリーも置きっぱなしのままつばきをソファに運んで、膝に乗せて何度も角度を変えながら久しぶりの体温の交換を飽きるまで続けた。
「あのね…あたし、あしたとあさってお休み取ったの。ゆっくり、お話…したい」
小さめに、言葉を選びながら、ゆっくりと吐き出される言葉
きっとつばきも離れてる間にいろんなことを考えてくれたんだと思う
「俺も。帰国したら話そうって言ってたことちゃんと話したい。休み取ってくれてありがと」
「そんな…あたしが話したくて…」
「俺も話したい。だから今日はもうお風呂入って寝よ?」
「お風呂は……別?」
一緒に入ればやっぱ色々したくなる。
疲れてるけど、好きな女の子とくっつけば体は反応する
だけど今は離れたくねぇっスわ
今回はキス以外ホント何もしない。
だけど…
「一緒に、入ろっか」
「…ん」
照れちゃって
ホント可愛い…