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北風と太陽【黒子のバスケ】

第2章 糸口


sideつばき

先生はきっと、あたしの気持ちをあの短い時間でも見抜いていた

早く何とかしたい
早く何とかしなくちゃいけない
涼太にこれ以上我慢させちゃいけない


あたしの中にあるどうしようもない焦りに先生は気づいてくれていたんだと思う。


そして、涼太が帰国する前日。

3回目のカウンセリングで原因の心当たりを話して、自分では吹っ切れていると思っているけど友人からの指摘で思い当たる節があることや、性行為が苦手なこと…

そしてあんずにも話してなかった
一番のわだかまり


恥ずかしくて話せなかった
いくら仲が良くてもこれだけは言えなかった。


あの男たちが退学になる前、一人の男に言われた

「お前の反応…ちょーウケた。演技バレバレで笑えた」


自分がどんな反応をしてたかなんて分からない
だけど、あたしの反応は確実に笑いのネタになっていたことだけは事実だった。


恥ずかしくてたまらなかった。

先生に大学の時にあったことを話しながら、あたしはボロボロと泣いていた。


あの事は完全に過去のことで、話したりしたからと言って涙を流すようなことではないと思ってた。

警察官の娘さんだった子が盗撮されたことで被害届と民事訴訟を起こすと言ってくれたおかげで、映像も動画も間違いなく全てが押収、廃棄になってる。

それに、彼氏がいなかったことと、もう二度とおもちゃになりたくないと思ってたことでその手の行為とは無縁だった。

だからあたしは自分のトラウマを無視し続けられた。


だけど涼太と出会って、お付き合いして、涼太とならそうなりたいって思ったときパンドラの箱は開いてしまった。



「心的外傷後ストレス障害。…PTSDって聞いたことあるかしら?」

「一応……」

「これは自覚してる人もいればそうでない人もいるの。藤堂さんは後者のタイプなの」

「でも、あたし別に、命に関わるようなことは…されてないです」

私は、PTSDっていうのは、命の危険を感じた兵士や犯罪被害者がなるものだって思ってた。

まさか自分がそうなっているなんて考えたこともなかった
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