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北風と太陽【黒子のバスケ】

第2章 糸口


sideつばき

あんずの紹介してくれた先生は私たちよりは少し年上だと思うけど、スラリとした美人で柔らかい雰囲気の緑間先生って女医さんだった。


大きな総合病院のカウンセリングルームは静かで、外の音は何も聞えないけど、大きな窓から見える外の景色や曲線の多いインテリアに心が穏やかになって、緊張が徐々にほぐれていった。


ネットでの問診と1週間前に受けていたこの病院での婦人科系疾患の検査結果を見ながら先生がゆっくりと説明を始めた。

「まず、身体的なことですが、感染症や疾患などの所見はなく健康状態は良好です」

定期的に検診は受けてるから、体に問題がないだろうってことは最初から分かってた

「また、同時に受けていただいたホルモン検査でも月経サイクルなどを判断材料に加味しても数値に異常はありませんので、若年性更年期や早期閉経などの可能性も除外できるので、藤堂さんの場合の性的興奮障害は身体的不調によるものではないということをまずお伝えします」


つまり、あたしはあんずに言われた通り、メンタルが原因で涼太とはできていないんだということがはっきりした。

ホルモンの検査なんて初めて知ったし初めてやったけど、受けて良かった。


「今後どうしていくのか、自分がどうしていきたいのかをゆっくり考えて一緒に治療をしていきましょう。どんな選択も焦る必要は全くありません。自分の心が自然に答えを出すまで、どれだけ時間がかかってもいいということを忘れずに、藤堂さんのペースで一緒に改善していきましょう」

「はい」

男性医師では緊張したり恥ずかしくて言いたくないことも、同じ女性だと話せる。

何よりも、私という個人を尊重してくれる緑間先生の話し方で病院をここに決めて治療に通うことにした

本当は個人でしてるこじんまりとした病院が良かったことは事実だけど、先生との相性には代えられない。


「パートナーがいらっしゃるということですが、状態はご理解されているということで間違いないですか?」

「はい。…でも病院に来たことは…まだ…」

「そういったことも無理にパートナーに伝える必要はないのでそれでいいんですよ。協力が必要なことは事実ですが、焦る必要はないということを忘れないでくださいね。病院も私もずっとここにいてなくなりませんから」
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