第2章 糸口
side青峰
どんよりしてる黄瀬に差し入れのオニオングラタンスープとなんかよく分からねぇテイクアウトを渡した。
「…青峰っちってこういうことするタイプだっけ」
「するか。あんずが持ってってやれっつーから持ってきただけだ」
藤堂の落ち込み様から、黄瀬も結構落ち込んでるんじゃないかって連絡があった。
まだ合流してねぇから分からねぇって返事をすると差し入れをしろって言いだした。
(黄瀬君は、あめたまのオニオングラタンスープが好きでお店も12時までやってるし、サイドメニューも色々あるから美味しそうなのにしてね)
なんであんずが黄瀬の好み知ってんだよ
この下らねぇ嫉妬も裏を返せば自分がそれだけ惚れてるって事で、あんずに言われるとなんか言うことを聞いちまう
店に行って二人分テイクアウトして、ちゃんと買ったことを一応連絡して嫌みも添えた。
(買った。随分黄瀬に詳しいんだな)
(つばきがいつも言ってるから)
黄瀬は俺といても大体藤堂のことを惚気てくるけど、藤堂も同じじゃねーか
だったら尚更、ちゃんと聞かねーとな。
お互いの気持ちが離れてんのが揉め事の原因なら外野が何言ったってしょうがねぇけどそうじゃねぇなら解決できる。
「え、俺きゅーちゃんにここの店好きだって言ったっけ?」
「藤堂からいつも惚気られてんだから、知ってたって不思議じゃねぇだろ」
「…そうなんスか?」
相手を好きになればなる程、相手のことが見えなくなる
自分の気持ちの方がデカいんじゃねぇかって思って、好きでいてくれてることは分かってても、自分の方が相手を好きだと思ってるなんて、測れもしねぇことをウダウダ考えちまう
俺だって未だにあるんだから付き合ってそれほど経ってねぇ黄瀬がそう思ってたって別に不思議なことでもおかしいことでもねぇ。
「まぁな。お前も大概だけど、藤堂だってお前に惚れてんだよ。お互い真剣に付き合ってっから悩んでんじゃねーの?」
「青峰っち………これ、絶対、誰にも……きゅーちゃんにも言わないって約束してほしい」
「言わねぇ。けど、女の気持ちはあんずのが分かってるってことも事実だ」
「うん…でも、言わないで欲しいんス。すっげー個人的なことだから」
「あぁ」