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北風と太陽【黒子のバスケ】

第2章 糸口


sideつばき


最後は優しく諭すように言ってくれた涼太に何度も謝ったけど、やっぱり朝は気まずかった。

だから逃げるようにマンションを出て仕事に行って、今日の予定をドタキャンした



あんずに言われてハッとした。


認めたくなくて、感情的に反論したけど、ベッドに行くと何故かものすごく緊張して恥ずかしくなって心がざわざわする。


涼太に触れられてるのは心地いいのにそれに集中できない




じゃああたしは…



「あたし……一生このままなの……?」


絶望した。
行為ができないってことは結婚も子供もできない。

漠然とだけど、子供を欲しい気持ちはあったし、相手は涼太ならいいって思ってた。


だけど、できないならそんな事望めない。



「心療内科に相談するのも一つの手だと思うよ。ベッドじゃない場所で一度してみてからでもいいかもしれないけど、それでまたできなくてつばきが苦しい思いするなら、心療内科で相談するのもありなんじゃないかな」


こんなこと、相談できて、はっきりアドバイスをくれるのはあんずくらい


友達に心療内科を勧めるのは簡単じゃないってことぐらいあたしにもわかる。

自分はどこも傷ついてなくて普通だって思い込む人間に治療を勧めることは、下手すれば今後の関係性にも響いてくる


あんずは頭がいいからそんなことは百も承知なはずで、それでもあたしにそれを提案したってことは、本当にあたしを心配してくれてるんだなって伝わった。


「黄瀬君にはいろんなことがはっきりして、心の準備ができたら話せばいいと思うの。話しにくいことだけど、黄瀬君はつばきの事大好きだから、きっと寄り添ってくれるよ」


「……うん……ありがと。お医者さん、行ってみるね」


あんずの言葉だからすんなり聞けた。

これがお母さんとか、他の友達だったら猛反発してたと思う。


なんでも話せて、いつも真剣にあたしのことを考えてくれる親友だから、あたしも頑なにならずに済んだ


「大学時代の友達の奥さんが精神科医をしてるんだけど、もしいい病院が見つからなければ、検討してみて」

「うん。ありがと」

「お互い様だよ」
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