第2章 糸口
sideあんず
ただのケンカじゃないような気はしてたけど内容は思ってるよりも深刻だった。
お互いにそういう話は得意じゃなかったからほとんどしてこなかったけど、それを聞いてくるってことはきっとそれ関係
「あたし、全然……濡れなくて………」
そこまで言ってまたさっきと同じようにぽろぽろと涙を流し始めた。
あたしは確かにあの時は全然体が受け付けなくて、触られるのが嫌だったから体が反応しないのは多分普通のことだけどつばきはそれとは違う
黄瀬君に他の女の人の影があってできないなら、相談されるのは多分浮気の方で、体が反応しないことじゃない。
「黄瀬君と手つないだり、キスしたりするのいや?」
「全然……嫌じゃない。お風呂も一緒に入るの好きだし、一緒にベッドでくっつくのも好きなの……涼太の事、大好きなのにっ……」
辛くて悲しくて、理由もわからずに黄瀬君を受け入れられないことで自分を責めてる。
だけど、大好きで触られるのが嫌じゃないのに濡れないって……
若い犬や猫で盛が来ないってことはたまにある。
病気で体力がないとか、ペットショップにいて赤ちゃんの時の栄養状態が良くないことで体力がないとかいろんな原因はあるけど、共通してるのは体力不足。
「その、濡れないっていうのは何回くらいあったの?」
「……毎回……一度も…濡れてない…」
じゃあ偶々疲れててっていうのも当てはまらない
つばきは細身だけど健康体だし、仕事も繁忙期は忙しいけど今は普通。
趣味のヨガに行く体力もある
「緊張してるとか、恥ずかしくて…とか、環境が落ち着かないとか、思い当たる理由はある?」
緊張が強かったり落ち着かないことで分泌が妨げられることはある。
あとは濡れること自体を恥ずかしいと思うと若干は減ることもある
「それって……みんなそうじゃないの?」
「程度があると思うの。あたしも恥ずかしいしいまだに少し緊張しちゃうけど、徐々にほぐれていくし幸せだなって気持ちの方が大きくなるの。そうすると自然とリラックスできるっていうか……」
何度しても恥ずかしいものは恥ずかしいし、緊張だってしてる。
だけど優しく触られて、愛してるって言われると幸せの方が大きくなって、一つになりたいって心も体も相手を求める
だから自然と濡れるし受け入れられる