第2章 糸口
sideつばき
少し落ち着いて、ぬるくなったお茶を飲みながら話を切り出した。
「あんずはさ、青峰さんと……シしてるとき……どう思ってる?」
「…えっ……っと?思うって?何考えてるかって事?」
「あ、違くて。どう感じる?」
あまりに露骨なことは聞けなくて、なんて言っていいのか分からないから遠回しになっちゃうけど…
あれ以来あたしはこういうことを人と話すこと自体苦手で、あんずもそういうことを聞いたり話したりしてくることはなかった。
付き合いが長いし大人だから行為がないとは思ってないけど、話題にはしない。
「んー……あたしは、大輝とするの好きだから、幸せだって感じる」
きっとあんずだって言いにくいんだと思うけど、あたしが別にふざけて質問してる訳じゃないって分かってるだろうから、真剣に、言葉を選びながら答えてくれた
感じ方はあたしと変わらない気がする。
あたしも涼太に触れるのは好きで、触れられると幸せだなって思える。
それなのに、あたしたちはまだ最後までできてない
「……しようと思って、できなかったこと…ある?」
「……ある」
「それってどんな時…?」
「ほら、付き合って10か月くらいの時に、大輝が浮気してるってあたし言ってたの覚えてない?」
「覚えてる」
その時二人はまだ一緒には暮らしてなかったけど、あんずはこのダイニングでテーブルに突っ伏したまま何時間も泣いてた
青峰さんはあんずにスマホを見られてマズいことがないからなのか、メッセージもポップアップされれば名前も内容も丸見え
さつきって名前で本文は日付と時間、いつものところだよ!って書かれたメッセージを偶々見たあんずは青峰さんに浮気疑惑を抱いた。
そして後日、その日はどこにいたのか聞いたらストバスをしてたって言われて、嘘をつかれたと思ったあんずの疑心は更に膨れ上がって、その後頻繁にスマホをいじってる青峰さんを見て絶対浮気だと勝手に確信してた。
だけど結局は全部勘違い
いつものところはストバスのコートで、その後に何度も連絡を取ってたのは付き合って1年に何か贈りたいからって幼馴染の桃井さんに相談してて連絡を頻繁にしてただけ。
「あの時は、断ることもできないのに、不安で悲しくて、できなかったな…」