第2章 糸口
sideつばき
突然の呼び出しにも関わらず、あんずは色々食べ物を持ってきてくれて、仕事終わりに急いで来てくれたのか、服にはところどころ動物の毛らしきものがついていた。
「ごめーん。コロコロ貸して」
「うん」
きっとあたしが落ちていることは察してて、それでもこうやって無駄に気を遣わずにいつも通りにしてくれる方があたしが話しやすいって分かっててそうしてくれてる。
食欲はあんまりないけどせっかく買ってきてくれたし、どれもあたしが好きなものだったから食べてからゆっくり話そうとダイニングに並べた
あんずが青峰さんと喧嘩してうちに来ると、いつもこうやって一緒にこのダイニングに座ってご飯を食べた。
泣いたり怒ったりするけど、結局は青峰さんが大好きで大好きで、会いたくなっちゃうのがあんず
でも今回は逆
泣いてるのは私で、話を聞いてくれるのがあんず
涼太のことがすごく好きで会いたいけど、どんな顔をして会えばいいのか分からない。
今朝は気まずいままバイバイして、本当なら今夜も一緒の予定だったけど、それすらも体調が悪いからって嘘でドタキャンをした。
ちょこちょことつまむように食べて、真剣な話になっちゃうからお酒は冷蔵庫にしまってあったかい緑茶を淹れた。
「青峰さん帰り何時?」
「遅いと思うから全然気にしなくていいよ」
「そっか…ありがと」
あんずの予定を確認して、スマホに邪魔されたくないからサイレントにしようとすると涼太からメッセージが来てた
(体調大丈夫?今日はゆっくり休んで、また明日元気になったら連絡ちょうだい。)
いつもの優しい涼太で、嘘をついてドタキャンをした自分が本当に申し訳なくて涙が込み上げた
スマホを見つめたままボタボタと涙を流すあたしに、あんずが黙ってティッシュの箱を差し出してくれて、ごみ箱を近くに持ってきてくれた
涙を拭きながら、何度も打ち間違えて、それでも返信だけはしたくてやっとまともに入力できた。
(ごめんね。おやすみなさい)
嘘ついてごめんなさい
涼太を…受け入れられなくてごめんなさい…