第2章 糸口
side青峰
(つばきがちょっと元気なくて今日会うことになった)
昼過ぎにあんずからメッセージが来て、今日は一緒に夕飯食えねぇのか…とか思ってたら今度は黄瀬からメッセージが来た。
(相談したいことがあって、極秘で絶対人に聞かれたくないからウチがいいんスけど今日ダメっスか?)
このタイミング、まさかケンカか?
黄瀬は仕事柄女がいるってのを隠してるから藤堂とのことを極秘にしてぇのは分かる。
まぁ黄瀬に相談されるほど俺は恋愛経験ほーふじゃねぇけど、あんずもいねぇしまぁ聞くだけならいいか
(いーけど)
しかも文面が結構深刻だった。
いつもならおちゃらけたスタンプやら絵文字やらやかましいこいつが、そういうの無しってのは結構深刻っぽい感じはする
あんずに俺も黄瀬と会うことになったことを伝えてから、来期の特待生候補のテスト結果に目を通して候補を絞り込んでからアカデミーを出た。
赤司んとこに顔出して、スポンサー企業回って頭下げて
コートに立つ火神を羨ましく思いながら、帰国してアカデミーの立ち上げが思う様に進まなくてもずっと支えてくれたあんずと一緒にいられんのは幸せだった
今から藤堂の家に行くって連絡をくれたあんずが電話越しに“ちゅー”とか言ってきて、応えてやりてぇけどさすがにそれはしてやれねぇ。
俺がそんなんやってたらキモすぎる。
けど、すげー好き
交渉が上手くいかねぇ時も、アカデミーの生徒が外でバカやって呼ばれても、あいつがいてくれると頑張れる。
黄瀬が藤堂にめちゃくちゃ惚れてて、支えられてんだってことは見てりゃ分かる。
詳しいことは知らねぇけど藤堂は大学の時の男にいい思い出がねぇらしく、長いこと誰とも付き合ってなかったけど、黄瀬のことは信用してるし本気で好きだっつってたからうまくいきゃいいと思ってる。
俺とあんずも最初は結構ケンカしてすれ違ってたけど、今は分かることが増えてケンカもほぼしねぇ。
ケンカとかすれ違いとかってのは面倒ではあるけど、そういうのから目を逸らしていい面しか見ねぇ関係じゃ、いずれ崩壊して終わる
黄瀬達がちゃんと向き合おうとしてんならそれに手を貸すくれぇの事はする
俺だってあいつにアドバイスを貰った
借りは返さねぇとな