第1章 北風
side黄瀬
つばきからは長いこと彼氏がいなかったって聞いてたから、色々ゆっくりの方がいいかなって思って、今まではうちに泊まっても、たくさんキスをしてイチャイチャしてってところまでにしてた。
だけどなんとなく今日はいいのかなって思って、早めにベッドに入ろうって思ってたら、どっちがお風呂に先入るかで笑いあって、誘った時はめちゃくちゃ恥ずかしがって1回は断られたけど、電気を付けずにお風呂用のキャンドルを付けて換気をMAXにして一緒に入ろうって事で話がまとまった。
「先に入って、用意出来たら呼んで」
真っ赤な顔でコクリと頷いて洗面所から追い出された俺。
やっぱりいきなり一緒に風呂はハードル高かったかと思ってドアの外から声をかけた
「つばき?」
「…ん?」
「もし恥ずかしくなっちゃったら、無理して呼ばなくていいんスよ?呼んでもいいって思ったら呼んで」
「…うん。あとでっ……呼ぶ……」
きっとめちゃくちゃ恥ずかしがってるんだろうなって思ったから、リビングにいるからゆっくり決めていいって言ってその場を離れた。
もしのぼせちゃったらヤバいし…
一応冷たい水を用意して、期待しないでソファで待ってると30分くらいしてお風呂から呼び出しの音が鳴り響いた。
がっついてると思われたくなくてゆっくり洗面所まで行ってノックして、その奥の浴室からつばきの返事が聞こえるのを確認してから洗面所のドアを開けた。
「俺も、入っていい?」
「…うんっ……」
響く声に自分の欲望が膨れ上がるのを感じて、それでも一緒にお風呂に入って体を触れさせたいって気持ちが勝って、服を脱いで浴室の扉を開くと、後ろを向いてるつばきのうなじがろうそくの明かりでぼんやりと浮かんでめちゃくちゃ綺麗だった。
そして浴室内に漂う嗅ぎなれない香り
つばきは頭も体ももう洗っちゃったって事っぽかった。
洗いっこしたかったけど、それは少し先のお楽しみっスね
自分の体を軽く流して湯船に入ると、俺が入りやすいようになのか、恥ずかしいからなのか、反対側の湯船のへりにしがみつくようにスペースを開けてくれた。
なんか…
この慣れてない感じがめちゃくちゃ可愛い