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北風と太陽【黒子のバスケ】

第1章 北風


sideつばき


涼太と付き合って3か月。

会えない時間は多くても、お付き合いは順調だった。

あたしが来たいときはいつでも来ていいってマンションの合鍵をくれて、他の女性とお仕事で食事をするときは必ず連絡を入れてくれた。

仕事のスケジュールも大まかに教えてくれて、どの日は早く終わるとか朝はゆっくりできるとか共有のスケジュールアプリに入れて一緒にいられる時間を確保してくれていた。


だから不安はほとんどなかった


いい彼氏になれないなんて、そんなこと全然ない。



明日は涼太がお休みで、今夜は久しぶりに二人でゆっくり過ごせる。

お外でご飯もいいけど、人目もあるし部屋で二人でゆっくりお鍋にしようって約束をして材料を買って一度自分の家に戻ってお泊りの用意を整えた。


いつもより可愛い部屋着と、少しだけセクシーなランジェリーはあんずが一緒に選んでくれた



絶対にするって決まった訳じゃないけど、そうなるなら用意はしておきたい女ごころ


買った食材と、お泊りの荷物を持って涼太のマンションに到着した。



何度か来ているけど、好きな人の匂いでいっぱいの部屋は少しだけ緊張する。


涼太があたしのためにって用意してくれたスリッパを履いて、このうち用に置いてあるエプロンをしてお鍋の用意を始めた。


お出汁を取って具材を切って入れて、後は火をつけるだけにしてエプロンを外すと、ちょうど涼太がメッセージを送ってくれた

(今スタジオ出たから40分ぐらいで帰れるから、ご飯一緒に作ろ)

こういうところが、大好き


テレビではイメージの為に全然家庭っぽいことを話さない涼太が、実は一緒にお料理をしてくれて、お片付けも一緒にやってくれる。

付き合うことがなければ知ることのできなかった涼太を知るたびに、あたしは涼太が大好きで大好きで堪らなくなっていった。



そして本当に40分ぐらいで帰宅した涼太は用意を手伝えなかった分、自分が片づけをすると言ってくれて一緒にお鍋を食べた。

「つばき、疲れてるでしょ。お風呂先どーぞ」

「え、涼太の方が疲れてるでしょ!先入って」


お互いにどっちが先に入るかを言い合って、どっちも譲らなくてそれは次第に笑いに変わって…


ひとしきり笑い終わると涼太の色っぽい声が耳に響いた。


「じゃあさ……一緒に入る?」
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